律「澪と寄り道して帰る話」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:04:39.31 id:Gqx9SXLWo

 そうだ。あの日も寄り道して帰ったんだった。


「りっちゃん、りっちゃん」


   「んー? なぁに、みおちゃん」


「あのね、……だいすきっ!」


 「……えへ。わたしも!」



 で、そっから七年くらい経って、


 
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:05:59.44 id:Gqx9SXLWo


  ◆  ◆  ◆

 そこでじゃれ合ってる長い黒髪と明るい短髪の二人が
 やけに小さくかわいらしく見えるのは
 二階喫煙カウンター席の窓から見下ろしてる空間的距離ってやつのせいで、
 向かいのビルが伸ばした影と焼け付く太陽光の境目を
 ちらちら踏んだり退いたり飛び越えたりしながら
 ケータイ覗きあってくすくすやってるのが、
 こう、
 小動物的な意味でいとおしくなってしまって、
 ずっと見下ろしてたら急に周りがうるさく聞こえ出したんだ――ちがう、
 プレイヤーの音楽が鳴り止んでただけだった。

 再生し直そうと伸ばした手は、
 クーラーで誰かみたいに喉をやられてたからかな、
 プレイヤーではなく
 結露でべしょべしょになったアイスコーヒーのカップへと寄せられて
 ほとんど無意識でストローに口をつけると
 もう水っぽい薄い味だった。

 四時半の傾く陽差しに透けて見えた薄い色合い、
 もうウーロン茶なんかと変わんない。
 もらったまま入れそびれたシロップを拾い上げて
 半ばヤケで流し込む。あまい。
 さっきの水コーヒーよりは味がしてマシな気がした。
 嘘つけ、
 飲めた味じゃねーだろこれ。



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:08:12.89 id:Gqx9SXLWo

 お代わりを頼める相手はいなかった。

 振り向けばすぐ後ろの席で
 干からびた汗の塊みたいなスーツのおっちゃんが
 ずぶずぶ眠り込んでて、

 向こうの壁際で
 色落ちしてプリン頭のカップルが
 ネチョネチョくっついてる。
 女の方、
 男のシャツに頭を寄せてるくせに 自分のスマホしか見てやしない。
 その身体を支える男の太い腕の先が
 テーブルと女の背中で隠れて見えなくて心からよかった。

 ちょうど反対の席、トレイ回収場所のそばで
 緑チェックのシャツに黒メガネの兄ちゃんが
 マックブックをにやにや打ってる。
 ネトゲ、いやツイッターか。どうでもいいけど。

 そう広くはない二階席がよけいに狭くみえるのは淀んだ空気のせいだ。

 おっちゃんの背中が膨らんではしぼんでイビキをザリザリ響かす。
 プリン頭がゲラゲラ笑った。
 足下に重ねたバッグがあって私は動くに動けない。

 イヤホンを掛けてブロックパーティーのセカンドを再生する。
 1曲目、アカペラのバックで勝手に挿し込まれる現実の笑い声。
 2曲目に飛ばして爆音にした。
 笑い声がサンプリング音声に混じって消えていく。

 前に組んだ腕に重たい頭を乗せると、ガラスに自分の顔が写ってサイコーだ。
 今すぐ世界が滅べばいいのに。

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:10:26.31 id:Gqx9SXLWo

 外で寄り添ってる二人もケータイを見てた。

 無邪気にすり寄る短髪の女の子。
 長い黒髪の女の子がちょっとどぎまぎしてるのに気づかない。
 唯とかこういうとこあるからな……。

 すると急にすり寄ってた方が焦ってケータイをひったくろうとする。
 すかさず黒髪は回避。その手を追っかける短髪ちゃん。
 黒髪さんはよろけそうになりつつ短髪の必死の猛攻をよけて回る。
 あはは、見られたくない写真でもあったんだな。

 そこで左手の画面を引ったくろうとして短髪ちゃんが
 ぽてっとコケた。

 すぐには立ち上がらない。
 ひざまずいたような姿勢で、顔も上げられない。
 黒髪さんも思わず腰を屈めて様子をうかがう。
 ようやく上げた顔の歪みよう、あれたぶん泣いてる。
 どうしよう、超かわいい。

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:12:39.82 id:Gqx9SXLWo

 昔もこんな光景をどっかで見た。
 なんだっけあれ……と、甘ったるい味。
 もう捨てようかないい加減これ。
 思い出した。
 小5の縄跳び大会だ。思い出さなきゃよかった。

 居残り自主練で、夕方四時半くらいだった。
 あのときは配役も何もかもが逆で、
 私が転んだ澪を立たせる方だった。

 クラスで一番目立つ女子グループが変に張り切ってて、
 誰かが転ぶたんびにネチネチ言ってきたんだ。
 周りが言えないことをハッキリ言うワタシがカッコいいとか思ってるタイプ。
 くそ、今さら腹が立ってきた。

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:14:53.33 id:Gqx9SXLWo

 あのときもう少し幼かったら
 あの女をひっぱたいてしまってたかもしれない。
 でも、
 さすがの私もその頃には喧嘩して敵を倒せばハッピーエンド、
 みたいな単純痛快な人間関係なんかないのを悟ってたから、
 私は澪より先に引っかかって転んでみせるくらいしかできなかった。
 違う。
 大会のこととか澪のことばっか考えてたから
 ぼんやりして転んじゃったんだ。
 そう言い訳したんだった。

 私は澪を笑わせることにだけは成功して、
 乾いたささくれの痛む手を引いて
 二人で陽の沈む通学路を
 少し寄り道しながら帰った。

 なんで今さら思い出しちゃったんだろう。
 どうせ澪は忘れてるんだし、今やもう転ばなくなって、
 むしろあんな風に手を差し伸べる方の、
 基本的には強い人だってのに。

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:17:06.77 id:Gqx9SXLWo

 私のケータイもチカチカ光ってた。
 見なきゃよかった。
 不在着信、弟から。諦めが悪いな、って思わず笑う。
 何様のつもりなんだろう、私ら。

 ムギからまたメール。梓とさわちゃんからも。その他諸々。
 珍しいとこではいちごから。
 その中で私が反応したのはカラオケの会員登録メールだけだ。
 しょせん金欠の学生だから50円でも100円でも割引できると助かる。
 どうせならシャワーも浴びたい。
 そしたらこのケータイはなくしたっていい。
 嘘だ、それはさすがにできない。

 うざいメールや電話だけ通じなくする方法とかないのかな。
 いろいろ設定をいじくって、
 結局また電源切るしか思いつかなかった。
 自分のなのに、使い慣れてるはずなのに、未だに何も分かってない。

 電源を切ろうとしたとき着信が入った。
 澪からだ。

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:19:20.23 id:Gqx9SXLWo

 見下ろすと店の下で黒髪のあいつがケータイで喋ってる。
 なにか焦った顔。

 私は左のイヤホンだけ外して
  ああ うん そうだな わかってる だいじょぶだって
  ありがとう そうだな うんうん
 と適当に返す。
 そしたら窓の外で黒髪が怒り出した。
 肩をいからせて電話と反対の手を握りしめてる。
 何か吐き出すように重たい溜め息が聞こえた。
 あわてて短髪ちゃんが止めに入る。車の音で聞き取れない。

「って、律。聞いてる? 私たちもう、」

 受話器越しの不安げな声をどうにかなだめて、
 いいから戻ってこいよと説得する。

「戻るってどこのこと?」

 いやだからマックの二階だってさっきから言ってんじゃん。

「そうじゃなくて、ああもう……あは」
「なんだよ澪」

「ふふ、うん。やっと喋った」

 今まで会話してた相手にそう言われた。

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:21:33.74 id:Gqx9SXLWo

「どーゆう意味だよ。
 ってか午後ティー買ってくるんじゃなかったの? おせえぞ」

 ごめん、ちょっと立ち読みしてて、と謝る声が聞こえる。
 水っぽい甘さ。うぇ。

「律だってずっと立ち読みしてただろ」

 また水コーヒーに口をつけてしまう。

「ちげえって。このアイスコーヒー薄くってさ、ってか大丈夫だよな?」

 ぞわり、と胸の奥で不安が湧いたのは
 流してた曲の雰囲気が急に変わったせいだ。『Uniform』は5曲目だったか。
 そういえば私の制服ハンガーに掛けてきたっけ。
 アホか、どうでもいいんだよそんなことは。

 澪、私、今からそっち行こうか?

「ねぇ律。よく聞いて」

 ――私はもう、大丈夫だから。二人とも、大丈夫だから。

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:23:47.26 id:Gqx9SXLWo

「はっ?おい澪、お前まさか――」

 すぐ行くから待ってて、とだけ言い残して電話が切れた。
 窓の外に目を走らせる。
 黒髪のあいつはまだ受話器に耳を当てたままだった。
 こわばった肩と全身で吐き捨てるように顔を背けた。

 右耳の電子音がよけいに不安を逆立てる。
 溜め息の音まで聞こえそうな気がした。

 すると、短髪の子がすくっと立ち上がってあいつの左手をとる。
 両手でさするように、何か話しかけてるらしい。
 黒髪の子は携帯をしまうと余った手で彼女の頭をなでた。
 私もようやくケータイから耳を離すことができた。

 心拍数がひどくて、
 後ろの物音が聞こえないうちにイヤホンを付け直す。
 次の曲はやけに静かに始まった。
 ドラッグをキメた快感の曲だって澪から教わった気がする。
 前にその話を聞いた時は、どんな感じか想像もつかなかったけど。

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:26:00.68 id:Gqx9SXLWo

 気づけば小さい方の女の子は、
 黒髪の左手をつかんで抱きしめたまま泣きじゃくっていた。
 黒髪ちゃんはその明るい髪をなでながら、
 うまく気持ちを吐き出させるようにと背中をさすっているようだ。

 この期に及んで、私はまだその場を離れられずにいる。

 足がしびれたせいだ。
  違う。
 行き違いになるのが怖い。
  そうだけど違う。
 携帯やプレイヤーの充電が終わってないから。
  全っ然ちげえよバーカ。
 店内の空気が相変わらず重たいからだ。

 私は振り返った。
 足下まで白い液体が伸びている。

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:28:15.31 id:Gqx9SXLWo

 あわてて二人分のバッグをテーブルの上に載せる。
 チャックが開いてて私の財布がテーブルにこぼれ落ちる。
 店員はモップを構えて
 ここぞとばかりに床拭き洗剤を塗りたくって行った。
 ったく、
 客の荷物汚したらどうするつもりなんだよ。

 客の様子もやっぱり変わってない。
 おっさんはもう座席に脂っこい頭をひっつけるようにして寝ていて、
 兄ちゃんは小声のつもりでボイチャか何かを始めてた。
 聞こえてんだよ、プリキュアがどうとか。
 せいぜいプリン頭の奴らが少し静かになったぐらいだ。

 私は澪の荷物を抱きしめたまま、財布をしまおうとしたら
 白いのが目に入る。レシート、
 そこのゴミ箱に捨てとこうかな。
 だいぶ少なくなった五千円や千円札の隙間から
 まとまったレシートの束を出してそこに開けた。

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:30:28.77 id:Gqx9SXLWo

 ガスト、セブン、カラ館
 ファミマ、東京サニタリーサー……飛ばしてまたファミマ、
 ルノワールニューデイズ、セブン、ガスト、ダイソー、無印、セブン――
 セブン多いなおい。
 昨日の夜からこの財布はあまり使ってなかったから、ほんとはもっと多かった。

 ここ数日の記憶がざーっと駆け抜けてゆく。

 「ウイダーイン・ゼリー ヨーグルト味 ¥178」の印字だけで
 澪のひそめた眉と今にも何か言いたげな唇が
 浮かんで消える。
 そうだ、
 ボックス席で真っ正面から
 「いいから飲んでみろ」って押しつけられたんだった。

 舌のヒダから思い出しかかる例の味を水コーヒーで塗りつぶす。
 あのゼリーよりはマシな味だと思えた。
 これも嘘だ。

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:32:42.23 id:Gqx9SXLWo

 あの子まだ泣きやまない。
 コップの結露が濡らした指先と手の汗が混じって居心地悪い。

 ちらかしたレシートに水滴が付かないように手首でどかすと
 さっきの名刺サイズの割引券が腕に引っかかってみせる。
 人目に隠すようにレシートの束に混ぜて、
 結局どれも捨てられずに、財布に戻した。

 霧雨のようにしとしと泣いているのが見える。
 その子の頭に乗せられた小さな右手、
 そのまま撫で続けて間を持たすのも限界があって、
 不安そうな目を辺りに散らすけど
 二人に寄ってくる大人は一人もいなかった。

 どこかへ行ったり
 誰かに助けを求めたりすればいいのに、
 自分一人の役目だとでも思ってるのかな、
 勝手に動けなくなっているのにイライラする。

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:34:55.73 id:Gqx9SXLWo

 ああもう、何してんだよ。
 いっそこっち来いよ、ハッピーセットぐらいおごってあげるから。

 動けない黒髪の子に短髪の子が強くしがみつくもんだから、
 ビルの影どころか車道の方に押され気味だった。
 こんな時間だ、
 たまに過ぎてくタクシーやトラックのスピードは速い。

 いてもたってもいられなくなって財布を自分のバッグに投げ込んだ。
 そして二人分抱えて
 トレイを持ち上げたらバッグの重さに転びそうになった瞬間、
 横断歩道が青になって、暗がりから出てきたのが、

 澪だった。

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:37:09.25 id:Gqx9SXLWo

 固まった。
 一瞬、目が錯覚を起こしたのかと思った。

 澪だ。
 そりゃあ、澪だよ。
 あっちの小学生かせいぜい中学一年生くらいの女の子だって
 長い黒髪がかわいらしいけど、後ろでくくってポニテにしてるし、
 澪じゃない。

 錯覚なんて最初からなかった、
 どうみても別人だ、まず歳が全然違う、
 なのに、
 どうして私はあの子たちを見間違えたんだ?

 澪は二人に気づくとたぶんいつもの柔らかいほほえみを見せて
 (あいにく街灯と影が邪魔してここからは見えなかった)
 短髪で唯に似てる方の足下にしゃがんで
 ポーチから何か取り出して貼り付けてあげる。

 そして頭をなでる、ちゃんと二人分。

 ポニテの方がほんの少し身を引いてたじろいだけど、
 結局あいつの広い手になでられた。

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:39:22.79 id:Gqx9SXLWo

 腰にふたりしてしがみつかれて、澪が困ったように笑っていたら
 (光の下まで二人に圧されたせいで
  今度こそあいつの顔が見えてしまった)
 向こうのビル一階のスタバの方から
 三十代くらいの男女が駆け寄ってくる。

 澪は二人を立たせると、彼女たちの親元へと背中を押した、ように見えた。
 それからこちらを見上げて
 私に向かって笑った、
 本当にそう見えたから、思わず視線をそらした。

 ストローの端に残った私のリップを、目をそらしたまま
 何度も拭き取る。
 下ろすのに慣れてない前髪が瞼の上でちらつく。
 あの顔が頭から離れない。

 何度も、何度も。

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:41:36.21 id:Gqx9SXLWo

 階段を上ってくる足音で気付いて振り向くと、
 新しいトレイに紙カップを二つ載せていた。
 片方にはでかいスプーンが突き刺さっている。

 ……その、私を見つけるとすぐ、
 いつもちょっとうれしそうな顔すんのやめてくれないかな。困るから。
 ってか前髪うざい。
 誰もみてないし、戻してよくない?

「だめだって。大人っぽくしようって言ったの、律じゃん」
 隣に座って頬杖ついてこっちを見る睫毛の長さ。
 テーブルについた小さな肘を寄せて、組んだ指先に頬を乗せてる姿。

「ってか、もしかして見てた?」
 と窓越しに交差点を見やって言った。
 こう、
 回転いすをくるりと回して向き直って。

 私は水滴でにじんだマクドナルドの白いロゴばっかにらんでいて、
 たぶんロクな相づちも打てやしない。
 あの細かい仕草の一つ一つに胸が鳴ってしまって、
 数十時間前の熱いめまいを思い出しそうで、全然落ち着けやしない。
 このまま私までなでられたら、もうほんとだめになる。

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:43:49.64 id:Gqx9SXLWo

 みんな寝てる、と澪がつぶやいた。
 気付いてなかった。
 綿のように柔らかく固まった空気が辺りに降りていて、
 少し前まで突っ伏して寝てた私の方も眠気に誘われそうだ。

 こういう雰囲気っていいな、と澪がいう。
 つい聞き返した。
「なんだろ、やさしさに包まれてるようで」
 なにそれ、ユーミンかよ。

 吹き出す私を横に、澪があのカップルを見ていた。

「あの女の人、
 彼氏さんに自分のカーディガンを掛けてあげてる。
 肩とか冷えそうな格好なのに。でも、あったかいんだね」

 目を閉じて寄り添う女性は、ぬくい笑みをかすかに浮かべている。
 そんな彼女を大きな腕で引き寄せて、
 二の腕を暖めるようにしてぐうすか寝ている男。

 すると後ろの席でびくん、と物音がする。
 スーツのおっちゃんが目覚めたらしい。

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:46:03.09 id:Gqx9SXLWo

 高そうな腕時計を何度も見て舌打ちしている。
 上着を抱えるとトレイを持って出て行こうとする。
 そこに澪が呼びかけた。

「あの、カバン忘れてますよ!」

 おお、
 と調子の外れた声で振り向いたおじさんが、
 澪に頭を何度か下げつつ重そうなカバンを受け取った。
「悪いね、ありがとうね」
 おじさんが照れ笑いをしながら階段へと走っていく。
 入り口で上がってきた若い女の人とぶつかりそうになり、
 またあのとぼけた声で 悪いね って言ってた。

 女の人は腕を組んで寝ている緑チャックの兄ちゃんのテーブルに
 しれっと自分の荷物を置くと、彼にでこぴんを一発食らわせた。
 飛び上がる勢いで立ち上がり、
 まだ寝ぼけた様子で目を何度かこすると、二人で何か言い合って笑ってた。
 女の人のスマホに付いたラブライブのストラップが
 太陽みたいにきらきら輝いてみえて、


 その瞬間、
 私は消えてしまいたいと思った。

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:48:16.49 id:Gqx9SXLWo

「ね、律。この時間のマックって、なんだか守られてる感じしない?」

 そう言う澪の後ろからまだ傾いた日差しが射し込む。
 つややかな髪に淡い光が射して、まるで天使の輪っかのようだ。

「私たちも、あんなふうになりたいな」

 イスに腰掛けた足をぶらつかせて、
 私に肩を寄せて
 こっそりそうささやく。

 なんだよ澪、お前どうしてそうなんだよ。
 お前、なんなんだよ……

 光に照らされる店内の中で、
 私のなかに溜まった澱まで見透かされそうで、
 いっそ 私だけ夜に引きずり込まれてしまえばいい
 と願った。

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:50:30.11 id:Gqx9SXLWo

 澪の方、もう見ることもできない。
 気の置けない笑い声が遠くから聞こえる。
 もぞもぞと動き出したプリン頭の二人、
 しびれた彼氏の腕をさすってくすくす笑ってる。

 窓の外に必死で目を落とす。
 でももう私の顔も、下の二人も見えやしなかった。
 陽は落ちるどころか明けていく一方で、
 もう月のかすかな光もわからない。

「さっきのおじさん、始発間に合ったかな?」

 赤い光に満たされるフロアの中で、つぶれてしまいそうだった。

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:52:43.59 id:Gqx9SXLWo

 夕方だったらよかったのに、とずっと思っていた。

 縄跳び大会の夕暮れ通学路みたいに、
 私が先に転んで、澪をずっと引っ張って、守ってあげて、
 そういう風にしてれば二人でずっといられる。
 ずっとそう思っていた。

 でも今はただの明け方五時で、
 十七歳の私たちの居場所は少しずつ削れていく。

 何もかもがずっと変わらないって思いこみたかったんだ。
 でも昔とは全然違った。
 本当はもう逃走資金だって残っちゃいない。
 誰よりも尊い人をこんな場所まで引きずり込んでしまって、
 私はもうすぐ地獄に堕ちるだろう。ああ。

 両肩に手が触れた。
 薄目で見えた澪の両目がまっすぐ私を見つめるから、もう逃げられない。
 イヤホンも外れてしまって、
 澪の言葉を受け取るしかなかった。

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 01:54:56.98 id:Gqx9SXLWo

「律、帰ろうよ。
 今から新幹線に乗れば、夜には家に着けるから」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 17:59:42.47 id:Gqx9SXLWo


  ◆  ◆  ◆

 これはいわば神様に向けた供述調書で、現実には何の意味もなさない。

 先に引っかかって転んだのは私だった。
 昔から変わらない。
 前もって転んで、誰かに叱られて、
 あいつが気をつけてくれりゃそれでいい。
 嘘だ、そんな小難しいこと考えちゃいない。
 わかるだろ、
 いつも澪があきれる通り、
 田井中律は不注意でそそっかしいだけなんだ。

 だからあのときも、澪が叱ってくれると思って、
 熱にうかされた頭で浮かんでは消えたいくつもの選択肢から
 ひときわ毒々しく輝くのを掴んで、
 思い切り間違ってみせた。

 二週間ほど前、大雨で帰れなくなった蒸し暑い放課後、
 私から澪にキスをした。

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:01:56.07 id:Gqx9SXLWo

 軽はずみで大好きな人とそうしたのをすぐ後悔した。
 あれは、想像した以上だった。
 直に伝わる息や唇の濡れ方で頭の奥が焼き切れて、
 真っ暗にも真っ白にも感じた。

 制服のシャツ越しに近づける限り近づきたくて
 必死で澪の背中にしがみついて柔らかい熱を重ね合わせた。
 どうせもう二度とこんなことできないんだからって
 一生分の想いで
 澪に近づこうとした。

 だからあいつの細い腕も私の背中へ回ったとき、
 たとえその瞬間の錯覚だったとしても
 うれしさが身体の奥からあふれて、
 羽根が生えて空に飛んでいけるような、
 足下がおぼつかないほどのめまいに包まれて、
 息が続かないほど
 熱く唇を押しつけ合った。
 もう嫌われていい、絶交されていい、って言い聞かせながら。

 私のことを一度引き離した澪は、泣きそうな顔で目を腫らしていて、
 私の汚い唾液を垂らしたままで、
 一瞬あいつが世界の果てまで遠ざかってしまった気がして
 思わず自分の舌の肉を噛んだとき、
 澪がこの唇に
 もう一度吸い付いた。
 クーラーで冷えた背中の汗を熱い腕が覆って
 涙がにじみ出るのを感じた。

 澪が、私の方に降りてきてしまった。

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:04:09.54 id:Gqx9SXLWo

 距離感が完全に変わってしまった。

 教室でこちらと目があってくすりと頬をゆるめる澪の表情が、
 昨日までと全然違う意味に映った。
 おどけていつも通り澪をちゃかしたりして、
 いつもと同じように澪の膝に腰掛けて見せたりしたけど、
 全部逆効果で、
 私の歯車がキチキチ引っかかって変な笑いでごまかしてばかりだった。

 ムギが首を傾げるたび、
 唯が含み笑いをするたび、
 咎められる気がして必要以上に澪に絡んだ。
 教室の床じゅうに私のかけらが散らばっていく気がして
 本当に転びかけた。

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:06:23.00 id:Gqx9SXLWo

 あの日、進路調査票を握りしめた澪は確かに寂しいと言った。
 実感したら怖くなる、
 みんなと離れたくない、このままでいたい、ってそんな泣き言をもらしてた。

 だけど私は確実に方法を間違えた。

 恋愛感情じゃなくて、あくまで一番の友達として、
 大好きな人の不安を埋めればよかったんだ。
 卒業しても友達だよだとか、
 またメールしようね遊ぼうねだとか、
 中学の卒業式で聞き飽きた例のアレ。そっちを使うべきだったんだ。
 でも、
 そんな100円ショップでも買えそうな言葉で、
 誰が救えるっていうんだ?

 ……私は、澪を「救いたい」だなんて思ってたのか?

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:08:36.40 id:Gqx9SXLWo

 お互いの部屋で澪とキスするようになってからはサイコーだった。

 見つからないようにと鼓膜の神経をとがらせながら、
 すべすべしたあいつの髪を指で透かして、
 耳たぶから頬骨や顎へ続く肌をなぞっては舌を吸い合った。
 そうしている間だけは、自分の選択を誇っていられた。
 澪は私と違って面倒な嘘はつけないから、
 自分が求められてることだけは信じていられた。

 進路調査票も白紙にしたままなのに、
 こんな時がいつまでも続くと思ってたし、
 そこから一歩も動かずに
 クローゼットの中で咲いた花をただ静かに愛でていればいいと、
 嘘でもそう思いこもうとした。

 四日前の水曜日、澪が私大の推薦を蹴った。

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:10:50.39 id:Gqx9SXLWo

 私と一緒の大学を目指すことにしたらしい。
 あいつはどうだと言わんばかりに身を寄せて、
 髪に伸ばす手や口づけをせがんだ。

 翌日、
 ご両親にこっぴどく叱られた秋山さんが私の部屋へ逃げ込んできた。
 で、それを聡に見られた。
 あはは。 もうだめだ。
 りったんみおたんいちゃいちゃライフ、これにておしまい。
 残念でした、とっぴんぱらりのぷう。
 あはは。  澪が泣きだした。最悪だ。
 このままお互い引き離されるなら
 いっそ死んだ方がいい 的なこと言い出した。
 お前が死ねよ田井中律
 ああもう何も 考えたくない 考えろ 考えろ 考えろ 。

 私はしがみつかれて、涙と鼻水をすりつけられて、
 ぐるぐるぐるぐる
 頭の中をかき回して、
 結局
 いつも通り転んでみせることしか思いつかなかった。

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:13:03.89 id:Gqx9SXLWo

「なあ澪、
  すげえこと考えちゃった。
  今からちょっと、

  二人で どっか遠いとこ行こうよ」


 ばーか。

 あいつの目がそう言った、
 ように聞こえた。

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:15:17.50 id:Gqx9SXLWo

 そこからしばらく記憶がぐるぐる早回しになってろくに覚えちゃいない。
 とにかく逃げようと思った。

 通学カバンの中身を床にぶちまけて
  財布 ケータイ 充電器 プレイヤー 制汗剤 アクエリアス
 あと化粧ポーチを手当たり次第バッグに詰め込んだ。
 私のベッドでまだフリーズしてる澪の両肩を掴んで
 名前を呼ぶ みお だいじょうぶだ 私がついてるから 。
 このまま母さんがパートから帰る前に事を済ませなきゃならない。
 クローゼットから適当なアウターを引っ張り出して
 澪の肩にかぶせて
 手を引いた。

 すれ違いざまに聡に
 「家まで見送りがてらちょっと 寄り道 してくる」
 とだけ言い残して 何も言わせずに澪を家から引っ張り出した。
 視界に一瞬映った 星の光と
 玄関の明るさが 眼を突き刺しそうになって
 手が震えだしたのを悟らせないように
 理由はないけど
 バス停まで澪を引っ張って走った。

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:17:30.93 id:Gqx9SXLWo

 急行上り列車の終点 に降り立って
 閉まりかけのデパートのまばゆい光 から身を隠すようにして
 ロータリーに出ると
 ネオンライトが 着色料まみれのガムみたいな下品な 光を放っていて
 私はふらつく澪を引っ張って
 逃げ込む先を探した、
  居酒屋の呼び込みがうるさい、
   信号待ちで騒ぐ茶髪たち、
  酒臭いサラリーマンがふらつく、
    瞼を腫らしたままの澪の指が冷たい――あった。
  うちの近所にもあるチェーン店。

 とりあえず、晩ごはん食べようよ。
  おなかすいたでしょ。
 って言い訳に澪がぎこちなく笑った。
 ほっとすると、服に染み込んだ汗が急に冷えだした。

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:19:44.45 id:Gqx9SXLWo

 ガストを出て
 カラ館で私の膝にしがみついて薄く眠ってた澪 を起こす頃には
 終電が終わっていて、
 ネカフェも身分証を求められて逃げ出す始末で、
 あの胃にむかつくほど甘ったるくてカラフルな 看板の群れから
 距離をとりたくて、駅前からはずれたコンビニに逃げ込んだ。

 そしたらレジで
 ブレザーに男物のジャケットを羽織っただけの女の子が
 生ビールを二、三本と
 つまみを平気な顔で買っていて、
 店員もやる気なさそうな顔で成人確認をスルーしてるのが
 見えちゃったんだ。

 酔っぱらった父さんに一口飲まされたチューハイの味を舌の中で思い出す。
  これはテストだ、というアイデアがひらめいた。
 大人になるから酒が飲めるんじゃない、
 酒が飲めたら、それを許されたら大人なんだ。

 私はそばで目を伏せて震えているこいつのために大人にならなきゃいけない 。

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:21:57.91 id:Gqx9SXLWo

そうだテストだ  私は大人なんだ 澪を守れる 何があっても
 一緒に暮らしていくための 試験だこれに 受かれば私たち  どこにでも
  行ける行ってみせる  だから はい はい すいません
   TSUTAYAカードは持ってないです
  はい あっ パスモで支払いお願い しますはい あのやっぱ
 レシートください  試験終了。

 350mlの「合格通知」を数本と
 軽いおやつを入れたコンビニ袋を 反対の手に提げて、
 澪を暗いとこへ引き込んだ。

 私より澪の方が手を強く握っていて、
 心臓をそのまま握られたみたいに熱くて、
 首の動脈にどくどくと血流が流し込まれるのを感じた。

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:24:11.35 id:Gqx9SXLWo

 もう私は大人なんだ、
 オトナならカノジョをカッコよくリードしないとね、って
 頭の中の冗談に笑った勢いを利用して
 壁に囲われた紫色のエキゾチックな入り口に逃げ込んだ。
 私はもう大人だ、だから
 こんな時間に補導なんてされるわけにはいかない。

 受付でルームキーと一緒に
 割引券と称した架空の会社の名刺を受け取って、
 薄暗い部屋に入るなり 荷物を放って
 ベッドに 自分の身を投げた。
 まだ澪の手が離れないままで、呼吸や血圧が元に戻るまでしばらく
 天井の低さが目に迫るのを
 眺めてた。

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:26:24.86 id:Gqx9SXLWo

 耳元すこし離れたとこで
 澪の生温かい息が聞こえてた。
 首を向ける気力も起きなくて、かわりに指の力をつっと締めた。
  締め返された。
 それだけで何か熱いものが染みて流れ出す気がして、
  クーラーつけよっか、とつぶやいたら、

 澪が急に全身でごろんとこちらに転がして
 仰向けでだらしなく広がってた私の身体を押しつぶした。

 私の薄い胸、
 たぶん心臓から
 しぶきが流れる音まで 聞こえてたと思う。

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:28:38.37 id:Gqx9SXLWo

 そこに小さな頭を寄せて、
  りっちゃん、
  りっちゃん、って
 涙声を押しつけた。

 あばら骨の辺りに
 澪のおっきな胸が押しつけられてて、必死でしがみついて
 一緒になろうとして
 澪の脚が私にからみついてて、
 冷えた足首がぶつかってすべすべした肌をすり抜けた時、
 私は澪を落とさないように反対の腕を使って
 自分へ引き寄せた。

 私の服がぐしゃぐしゃになるのが
 たまらなくうれしくて、なぜだか分からないけど、いきなり
 「私は勝った!」
 と思ったんだ。

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:30:51.79 id:Gqx9SXLWo

 私たち、世界をだましきった。大人になれた。
 もう大丈夫だ、
 どこまでも逃げてみせる。
 澪、あいしてる。

 全く根拠のないキャッチフレーズに酔いしれて、
 いい気分になって、
 ハッピーエンドを迎えた気になってしまった。
 私の場所はここだ って
 叫びたいぐらいで、とにかく頭をなでながら
 澪の名前ばっか呼んでた、
 と思う。

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:33:05.22 id:Gqx9SXLWo

 二段飛ばしで大人の階段を駆け上って二人でお風呂に入った。

 なんかもう離れたくなくって、
 はだかだと澪と並んでたら
 急に自分がちんちくりんの子供にみえて、
 鏡に見られるのがいやだったけど、
 そんなことしたら澪の居場所がなくなってしまうから
 テンション高い振りをした。

 澪はまだぽーっとしていて、
 自分の身体を洗うことも知らない子供みたいだったから、
 私がボディソープをまぶして
 澪を洗った。

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:35:18.83 id:Gqx9SXLWo

 目をつむって 首を少し前に垂れていて、
 でもさっきみたいに 眉も口元もゆがんでいなくって、
 柔らかく膨らんだ頬が かわいらしかった。
 そんな澪が
  りっちゃん、だいすき って
 ときどき夢うつつで口にするから、
 小さい頃に戻ったみたいだって思った。

 そういえば小さい頃も一緒にお風呂入ったっけ、
 ああそうだ、
 公園で澪をからかったらおもらししちゃって
 めちゃくちゃ泣いちゃって
 家でお風呂浴びて帰ったとか うわー私変態じゃん、
 ってなこと考えると
 またさっきみたいになるからって、
 私は無心で澪の大人びた身体を洗っていった。

 そうすると、
 不思議と私も子どもに戻っていくような気がしたんだ。


46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:37:32.30 id:Gqx9SXLWo

 ずいぶん重くなった胸を下から持ち上げたりして、
 んぅって やらしい息が漏れたのを聞いても、
 えろいことしようって気にはならなくて、
 二の腕の細さや天使の羽根みたいな肩胛骨をなぞったり、
 上品な首飾りのように美しい鎖骨の曲線を傷つけないように
 泡を滑らせたりして、
 澪を隔てている薄い油膜を溶かして一緒にしてしまおうとした。

 中学校の制服のスカートが最初はイヤだった、
 なんて急に思い出す。

 あのときも澪は女の子の制服を着こなしていて、
 私はあんまり履きたくなかったスカートで居心地わるくて、
 小5くらいから澪の胸が大きくなったり生理が始まったりして、
 私を置いて
 どんどん女の子になってしまうのが怖かったんだ。

 制服がいけなかった、なんて思いついた。

 そのまま私の身体も制服に合うように大きくなってしまって、
 今ではもうスカートのことなんて忘れてた、
 はずなのに。

 目を閉じたまま膝を寄せてこちらを見上げている顔の幼さが、
 あれ母性本能っていうのかな、
 くらくらするほどいとおしかったから、
 思わずまた口づけしてしまった。

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:39:45.82 id:Gqx9SXLWo

 泡を流して、
 ほどいた髪を洗う前につむじにキスするつもりで
 ほんのすこし口に含んでみたら、
 ざらざらと涎にまみれて広がるのが すごかった。

 あれだけ大人になるっていきまいてたくせに、
 自分を子どもに戻していった夜に
 人生で最高の幸せを手に入れた気がした。

 あの夜だけは、
 本当にそう思えた。

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:41:59.24 id:Gqx9SXLWo

 それからもう一度シャワーを浴びる羽目になったけど、
 そのまま泥の汗まみれで私たちは寝込んだ。

 布団の外に出しっぱなしの方の腕を
 クーラーが皮膚ごと削ぐように冷やしてったせいで、
 何かすごく不吉な夢をみた。

 気付けば澪は
 シャワーを浴び終えていて、
 枕元のデジタル時計は午前五時だと言っていて、
  律、おはよう、って
 私の頭を膝に乗せてほほえんでいた。

 下から見上げる澪がやけに大きく感じて、
 相対的に自分が小さく感じた。
 備え付けの白いバスローブをまとった澪は
 私なんかより全然大人に見えて、また置いてかれる、って
 思う 自分の子どもっぽさがイヤになった。

 心のひだに垢や脂のようなものが溜まって、腐っていく。

 急に夢から突き落とされた気がして、でも
 それを澪に伝えたってどうしようもないから、
  おはよう、みおちゃん、って
 うまいこと笑ってみせた。と思う、きっと。

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:44:12.90 id:Gqx9SXLWo

 明るんだ空から後ろめたい心を隠すようにして
 駅の騒がしい方へと駆け込んでも、ちっとも気持ちは晴れやしない。
 ラブホ街を抜けると
 スーツ姿の男女や知らない高校の制服が目立ちはじめて、
 歩道のタイルの目地を必死で睨みつけながらホームを目指した。

 とりあえず電車に乗って、うんと遠いところ。

 昨日の釣り銭で生じた五千円札と
 ATMから下ろしたての一万円札をパスモに食わせて
 昼までに使い切るつもりで
 ひたすら本州のはじっこを目指した。

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:46:26.41 id:Gqx9SXLWo

 知らないうちに
 澪は吹っ切れたようにはしゃいでいて、
 窓から海が見えたとか、
 車両のトイレが意外ときれいだったとか、もうすぐ何県だとか、
 時刻表を開いて
 次は何分発に乗るから駅弁と ついでに服も買おうとか、
 そんな風にずっと騒いでいた。

 あーこいつかわいいなあ、って思うたびに、
 心に溜まった老廃物が恨むように膿んでは痛み出す。
 午後を過ぎるころには、
 自分がどこにも逃げられないことに気付いていた。
 そりゃそうだ、
 逃げたかったのは澪の両親からでも、将来の問題や唯たちでもなく、
 自分自身だったんだから。

 夕方の日差しはどこでも同じように私の目を焼いて、
 澪をひたすら輝かせて、
 しれっと沈んでいく。

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:48:39.85 id:Gqx9SXLWo

 私の精神が私から離れていくに従って、
 時の経つスピードが加速していった気がする。

 ぼんやりしているうちに澪は笑って
 何かを差し出して、つられて私も笑ったりしていて、
 ろくに選んだ覚えもない服や化粧を買い込んで、
  どう、大人っぽい?って
 聞いた澪のセンスに絶句したりして、

 いろんなことが私の外側で急速に動いていくのを感じていた。

 最初のうちは私の方が澪を引っ張って遊び歩いてみせたくせに、
 今や澪に引きずられていて、
 何も知らずに全力で楽しんでるあいつがうらやましく思えて、
 そんな自分がますます嫌いになっていく。

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:50:53.36 id:Gqx9SXLWo

 支払いをほとんど澪に任せるようになってから
 レシートが溜まらなくなって、どこに行って何を食べたとか
 ほとんど思い出せない。
 目も耳もぼんやりしていて、
 知らない街の灯は
 路上で水浸しになったチラシみたいにぼやけていた。

 二日目の夜、
 澪はためらいもなく私を暗いとこへと引きずり込んでみせた。
 その目は どうせ
 コーヒーシロップのようにどろりと甘く濁っていて、
 私はそんな澪を見たくなくって
 ずっとエレベーターの汚い文字盤ばかり見つめていた。

 312号室。
 なんでそんなことばっか頭に残るんだろう。

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:53:07.04 id:Gqx9SXLWo

 浮かされた頭を慣れないアルコール漬けにして
 ごまかそうとしたって、
 部屋の隅か心の隅でずっと私が私を見てた。

 私が澪にしたように、
  飛びつくように唇を吸って、舌を迎え入れて、
  湿っぽいシャツの中に長い指先が伸びてくのをゆるした。
 私が澪にしたように、
  薄い布一枚隔てたまま汗が蒸発していく熱い肌を
  塗りつけあって肌着の意味をなくしていった。
 私が澪にしたように、
  首から胸にかけて唇からあふれた液で舌をすべらせては
  身体じゅうのあらゆる柔らかい場所に残さず吸い痕をつけて
  聞きたくもない声を 何度も上げさせた。
 そして、
 私が澪にしたように、
  柔らかい肌に押しつぶされながら、
  背中に爪を立ててシーツを握りしめて、
  名前を呼び合いながら 二人の奥深くで
  互いの指を交換して、声を上げて
  一番深いとこで 強く
  にぎりしめあった。

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:55:20.55 id:Gqx9SXLWo

 歪んだエレキギターのようなサイレンが頭の中でずっと鳴っていて、
 軽蔑する数週間前の私の冷たい視線から、
 せめて澪の白い肌だけで隠そうと、
 足りない長さの腕で引き寄せて閉じこめようとしたけど、
 思わず声を上げて絡め合ってしまう自分の太股と
 身体に失望するだけだった。

 本当、どうしてこんなことばっか、頭に焼き付くんだろう。

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 18:57:34.07 id:Gqx9SXLWo

 ふたりで意識を放り投げてから、なにか長い夢を見ていた気がする。
 ああそうだあのとき一度思い出したんだ小5の縄跳び大会の帰り道。
 駅前通りから外れた誰もいない遊歩道を抜けたとこ。

 遅生まれで年下の澪がまぶしい笑顔を向ける。

  『あのね、……だいすきっ!』

 ……ああっ、くそ!
 よりにもよって、さっきシーツの中で聞いたようなことを言いやがって。

  10歳の澪、17歳の澪、あらゆる時代の澪が
  頭の中で重なっては消えていく。
  大切な記憶が体液にまみれて溺れてしまう。

 あの遊歩道にいる資格のない私は、
 夢から飛び降り自殺するようにして、
 現実のかたい地面に叩きつけられるようにして、
 目覚めたときすでに午前四時を過ぎていて、
 澪は、
 現実の澪は、
 そのとき私の腕から消えていた澪は 浴室のドアを開けて――

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:19:17.51 id:Gqx9SXLWo


  ◆  ◆  ◆

 まだ眠いの、と聞かれて顔を上げたら自分と目が合った。

 ガラスに映った姿は外の明るさでもう消えかかっていて、
 ろくに眠れてないから死んだような目をしていて、
 本当に幽霊みたいで
 思わずうすら笑いをにじませてしまうその顔がきもい。
 消えろ。
 消えてよ私。

「もうちょっと寝ててもいいよ、新幹線の時間分からないけど。
 あと溶けちゃうよ、フルーリー

 混じり気ひとつない顔でくすくす笑いながら、
 澪が白いスプーンを私に向けた。
 チョコレートの黒い粉のつぶが混じっていて、なにも考えずに口に含む。
 あまい。
 そこの水コーヒーとは比べるのも失礼なほど、
 本物のとろけるような甘さ。
 今度こそ嘘じゃない。

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:21:30.96 id:Gqx9SXLWo

 わあ、よく見える、と
 澪が窓の外を見下ろしていた。

 組んでた腕を上げて垂れた髪を耳に流す姿と、
 浮かせた爪先を子どもっぽくぶらつかせる姿が 一枚の絵のようで、
 この人が自分の恋人だって気がしない。たった数日で別人みたいに輝いていた。
 そんな人が、こちらを振り向くだけで、
 ほら、
 胸がおかしくなりそうなほど。

「見てたんだろ」

 母親みたいな声で澪がいう。

「ごめん」

 なんで謝るんだ、といって私の頭に手がふれた。
 手の重さに思わず目を閉じると、
 はずみで乾燥した目がうるみ出しそうになった。

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:23:45.46 id:Gqx9SXLWo

「だって、覗き見ってさ、悪いことじゃん。たぶん」

 言いながら頭をなでる手を外したくなった。
 でも私は目をつむったまま、首を澪に近づけるばかりだ。

「誰かが見ていてくれるって、それだけで安心できるよ」

 瞼を透き通して感じる光がまぶしくて、
 前髪が垂れるほどうつむく。

「ケータイ、充電終わってる。そっちの寝やすい席に行こっか」

 ぽん、と手が私をたたいた。
 移動ついでに水コーヒーを捨てようとしたけど、
 身体を動かすのがかったるくて、結局トレイに乗せたまま澪が運んでしまった。

 そうやって私たちは判決を先延ばしにする。

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:25:59.50 id:Gqx9SXLWo

 こっちおいで、と言われて二人してソファー側に座る。

「大丈夫、みんな寝てるよ」

 見透かしたように耳打ちされた。
 あわてて出て行ったおじさんの空席。
 一組のスプーンとフォークみたいに寄り添って眠る、
 揃えた髪の色がきれいな二人。

 向こう側でテーブル越しにうつむきあう二人は
 イヤホンを分け合って歌詞カードを開いて、わずかに頭をゆらしている。

 さっき清掃が入ったばかりで、
 バイトの店員もこの空間に踏み込む気配は、まだない。
 ポテトの焼き上がる音が階段の向こうからかすかに聞こえる。

 つむじに添えられた手につられるようにして、
 私は澪の膝に頭を寝かせていった。
 耳に当たるショートパンツの縫い目を指でなぞってると声が聞こえる。

  ねえ律、なに聴いてたの。

 私をのぞき込む顔の方を向くと、天井の照明が目に染みていたい。
 光をかくすようにポケットのプレイヤーを渡すと、
  へえ、ぴったりだ、
 と澪がいった。

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:28:12.93 id:Gqx9SXLWo

 どこが、ときくと、だって今日って日曜の朝じゃん、
 と返された。

 軽いどや顔で見せつけられたプレイヤーの画面には、
 夜の町を上空から見下ろしたジャケット画像とともに

  《Bloc Party - Sunday》

 と映し出されていた。

 そっか、もう日曜なんだ。

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:30:26.35 id:Gqx9SXLWo

「そうだよ。明日は月曜だ」

 口に出した覚えもないのに澪が返す。
 軽い寝ぼけ頭と照明と朝の光のまぶしさのせいで、
 余計なことまで言いそうだったから、
 ヒステリックグラマーはやめといて正解だな、と一番余計なことを言ってみた。

「かわいかったのに。ロックな感じで」

「いきなり攻めすぎなんだよ、お前は」

 むくれた声が見なくても聞こえる。
 律がいなきゃ、こんな服も買えなかったよ。
 その声の微妙な表情が心のひだに染み込んで、
 澪のおなかに顔を押しつけてしまう。

「……ごめん。澪、ほんっとごめん」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:32:39.78 id:Gqx9SXLWo

「ヒスグラのこと?」

 黙ってると、勝手に澪がしゃべりはじめた。

「すっごく楽しかった。ずっと、ドキドキしてる」

 さわってみる?なんて私の手を取って自分の胸元に伸ばそうとした。
 でも手がもう固まっちゃって動かない。

 澪は私の指先を置き去りに自分の手をテーブルの上に乗せた。
 そんな些細な動きも視界の隙間に入れないようにと抱きついて寝ていたのに、
 腕の動きやあいつの癖なんて簡単に読み通せてしまう。

 ガストのドリンクバーで取ってきたストローの噛み跡。
 ボックス席の窓際に乗せた、コンビニの箸袋を折って作った箸置き。
 駅弁、期待してたほどうまくなかったって変な顔してたっけ。
 もう口の中の味なんて分からなくなってたけど、
 澪がまずいって言うからたぶんまずかったんだ。

 想像と現実は違う。
 思い知っただろ、お前だってさ。

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:34:53.17 id:Gqx9SXLWo

「うわ、これ懐かしい。律にだまされて買ったやつだ」

 捨てそびれたレシート、紙のがさがさいう音。
 声の温度がゆがんだ眉とあの唇とを思い出させた。
 わるかったよ、だましてばっかで。
 もう乾き始めた口の中で人工甘味料の気持ち悪い味が浮かぶ。

「ヨーグルト味だけは失敗だった、うん」

 わかってるよ、私だって。
 なのになんで澪、まだ楽しそうなの?

「ああそうだ、もんじゃ焼き! あれ二人じゃ絶対多かったよね」

 財布を開ける音が聞こえて、紙の音がかさかさ鳴った。
 澪までレシート整理を始めたらしい。
 上の方で思い出をひもといていく声が聞こえる。
 昨日のことなんて遠すぎて忘れてしまってたのに。

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:37:06.65 id:Gqx9SXLWo

 ケータイのカメラを使いすぎて
 駅のニューデイズで買った充電パックとか、

 電車に集団で乗ってきた同い年くらいのJKたちの方言に
 いちいち感動しながら飲み干した
 澪のポカリスエットとか、

 電車が行っちゃって
 四十五分待ちだからって開き直って
 改札を抜けてもトタン屋根の広がる田舎駅で何もなくて、
 なのに
 くたびれた世界を見渡す澪の目はひたすらキラキラしてて、
 駅名の看板と
 ピースサインを無駄に撮らされたりしながら、
 照りつける陽射しから
 逃げ込むように滑り込んだセブンで買った
 ご当地チロルチョコとか。
 あれくっそまずかったっけ。
 食べ物の運わるいな、私ら。  あは。

「ん、どうしたの律」

 そんなとこばっかみるな。

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:39:20.17 id:Gqx9SXLWo

「ああこれ! やっぱ水上バス乗っとけばよかった」

 ったく、観光じゃねえだろ。
 わらいそうになった頬を見せたくなくて膝に押しつけたら、
 澪の方がくすぐったそうに身体をよじって笑ったりする。

「ねえ澪、あの子たちとなんか話したりしたの」

 これでも話題をそらそうとしたんだよ。

「えっ? ああ、
 あの子たち両親とケンカして帰れなくなっちゃったんだって」

 ……失敗した。

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:41:34.11 id:Gqx9SXLWo

「なんかね、宿題やってないのに夏祭りに行ったのがバレちゃって。律みたいだ」

 うるせーよ本当。

「ぜんぜん違うし。唯だろ、そういうの」

 そうかなあ、って思い返す斜め上の目線。
 見なくたって知ってる。
 きれいな顔のくせに少し抜けてる子っぽくてかわいいんだ。
 そしたら澪が、

「ちがうよ。唯は、いろいろ助けてくれた」

 聞いたことのない声でつぶやいた。
 だから思わず顔を上げてしまう。

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:43:47.52 id:Gqx9SXLWo

 光に慣れない目がまぶしかったせいだ。

 マックの弱い灯りでも、一瞬よく見えなかった。
 私の大事なひとが、
 妙に真面目な顔してテーブルの奥でなにか手遊びをしている。
 明け方マックの淡い光に照らされて、ここからだと手先までは見えない。

 それだけなのに、
 その瞬間 その姿がなぜかとても 神聖な幻覚のようにみえた。

 空間を満たしていたゆるいBGMがちょうど途切れて、
 柔らかい光が蒸気のようにたちこめたままで、
 曇りガラスごしに水を浴びる愛するひとの
 存在や重さを感じ取るみたいな、
 なんだろう、
 とにかくとても尊いもののだと思ったんだ。

 わかってた、錯覚だって頭は言ってた。
 澪の癖だって知ってた。
 だけど、
 テーブル下の暗いとこで
 この身体をつつむ膝やおなかの慣れきった温もりにひたって、
 今だけはまぼろしの答え合わせをしたくなかった。

 私は時を止めたかったんだ。
 こんな気持ち、神様にだって伝わりっこないけれど。

 でも、終わるんだ。
 こんな時間は。

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:46:00.95 id:Gqx9SXLWo

 紙の音も終わって、ケータイのボタンをニチニチ鳴らす音がする。
 ほら、この写真、律が半目だ、とかなんとか。
 その話何度目だよ。

 ボックス席に二人きりで居たときも
 澪がケータイをいじくってるのはだいたい写真の整理だった。
 一緒に 部屋の壁にもたれ掛かってても、
  どうしよう律 どれも消せない って
 相談してくるくせに、
 私がいくつか消させようとすると
 残すべき理由を無理矢理こじつけてくるんだ。

「やっぱかわいいな、これ。私センスあるよね」

 いやな予感がした。

「ほら、昨日の明け方。お化粧したげたの、おぼえてる?」

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:48:14.40 id:Gqx9SXLWo

 飛びついて携帯を奪おうとしてテーブルにおでこをぶつけた。
 痛みが染みる。

「返せよ、みお! それ絶対あたしの黒歴史になるからっ!」

 じたばた動かす私の腕を押さえつけながら染みた額をなでてくれたりする。
 むかつく。
 私、子供じゃないってのに。

「あは、さっきの子たちみたい。バンソウコウ貼ったげようか?」

 いらん。
 てか消してよ。

「やだよ。だってこんな可愛いのに」

 そう言って画面を見せつけられた。

 ラブホの洗面所のくすんだ空気、水垢の残る鏡、
 突き刺すようなカメラのフラッシュが鏡に反射してる。
 そのカメラを向けてる澪の腕にくるまれて、
 少女趣味な格好をさせられた私がいた。

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:50:27.71 id:Gqx9SXLWo

 思い出した、午前四時半のベッドサイド。
 だいたい二十四時間くらい前。

 自己嫌悪を煮詰めるような悪夢にうなされて、
 目覚めて澪がいなくなってて、
 つぶれそうだった時にあいつは
 風呂上がりののんきな顔と乾かしたての髪で私を抱き起こして、
 動かない頭と身体をいいように買ってきた服を着せていったんだ。
 あれ、澪のために買った服なのにな。

 サイズが少し合わなくて、
 自分の小ささが浮き彫りになるようで いやだったのに
 私はなぜかベッドの上に座って化粧道具をかまえる澪の前に
 目を閉じて顔を差し出してしまったんだ。

 マスカラやファンデやリップなんかが 目元や頬や唇の上へと触れてくのが
 キスするみたいで、
 キスよりもずっと繊細な感触で、
 こわれものを扱うように肌に触れるのが 気持ちよかった。

74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:52:41.23 id:Gqx9SXLWo

 画面の中の私はまだ目を細めていて、
 相変わらず正面を向けずに洗面台の上の歯ブラシを凝視していて、
 おどおどと胸元を隠すように握ってたりして、
 肩の線がやけに小さく見えて、
 こんなの私と同一人物だって思いたくないほどだった。

 だから黒歴史なんだ、
 って消そうとしたのにまた奪われた。

「この写真だけは絶対消さないからな。世界で一番可愛い律だもの」

 なにそれ、他に律がいるの?ってかやめてよほんと。
 自分の顔から目をそらすと、

 なにか白いものが目にとまった。

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:54:54.67 id:Gqx9SXLWo

 わかるかな、紙のバネ。

 ストローの細長い紙袋2本を直角に重ねて、
 互い違いに折り込んで作る、
 あの、
 子供の手なぐさみ。

 それが、広がったままトレイの隅っこに転がっていた。

 窓から差し込む明かりの当たらない、
 ちょうどフルーリーのカップが陰になった場所で、
 光から隠れるように寝そべっていた。

 ああそっか、これも澪のくせだった。
 つまみあげると、
 片方の紙袋はくしゃくしゃにつぶされた痕がある。
 もう片方のはさっき澪が買ったときのストロー袋で、
 目立ったシワはなかった。

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:57:08.11 id:Gqx9SXLWo

 捨てようとしてた私の紙屑は、澪のと重なって一つの形をなしていた。

 伸ばしてみると少しずつねじれて、
 まるで DNAのらせん構造 のように
 ゆるやかな曲線を描いて 裏も表もなく絡まり合っていて、
 ますます離れそうになかった。

 それあげるよ、って耳元で言われる。
 いらねーよ、とは言えなかった。
 重なり合った二つの袋には、
 まだ澪の手の熱が残っている気がしたから。

 そこでさっきの、あの真剣な表情が浮かぶ。
 なんだ、これを作ってたのか。
 まるで子供みたいだ、昔とぜんぜん変わらない。

「それ、律に教わったんだよ」

 そうだったかな、忘れちゃったよ。

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 22:59:21.53 id:Gqx9SXLWo

 ごごご、とストローをすする音が聞こえた。
 見たら澪が、私の水コーヒーを飲み干してた。

「あ、ばか、それまずいんだから捨てようと、」

「水だよ、これ。ただのぬるい水」

 私のおなかを抱きかかえる腕が前にすっと伸びて、
 5ミリほど残った透明な液体を見せた。

 それは本当に透明で、
 氷のかけらだって一粒もない。
 味なんてぜんぜんしない、ただの水だったらしい。

 なんで飲んだの、って聞いたら、
 電話で律が言ってたから、って。

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:01:34.85 id:Gqx9SXLWo

 たぶん、長い間ほっといたせいで分離してたんだ。
 私は沈殿したコーヒーだけ飲んで、
 澪は透明な上澄みを飲み干した。

 うそつき、ぬるいけどまずくはないじゃん、
 って笑い声に言い返したりはしない。
 だって、
 その手で代わりに飲ませてくれたオレンジジュースは果汁100%で、
 本当の甘さを教えてくれたから。

 手の中でもてあそぶ白い紙のバネ、
 光を浴びて熱を帯びて、みずから輝いているように見えた。
 柔らかな腕の中で、こんな時間がいつまでも続けばいいのに、
 二人で世界の果てまで行ければいいのに、
 ってまた思ってしまう。

 でも、終わるんでしょ。
 終わるんだよ。

 結局どこにも行けやしなくて、
 現実の長い腕が私たち二人を捕まえてしまって、
 すべて明るみになって、私たちは引き戻されて――

「律。こっち向いて」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:03:48.27 id:Gqx9SXLWo

 両手で顔を持ち上げられた。
 目に刺さる光の痛みが角膜を潤ませる。
 そうだ、涙が出そうになったのはまぶしいからだ。

「さっき、聡から電話があったんだ」

 ああ、判決が下る。
 耳をふさぎたい。

「十時過ぎに家に帰ったら誰もいなくて、びっくりしたって」

 ……はあ?

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:06:01.72 id:Gqx9SXLWo

「なに言ってんだよ、聡のやつ、私らのことバッチリ見て、」

「聡は何も見てない。何も知らない。
 お母さんが、
 私の家にずっと泊まるとご迷惑だから
 早く帰ってきなさいって言ってたって、聡が言ってた」

 家族そろって大うそつきだ、って澪が笑った。
 目を離したくても、こっち向いてって言われてたから、
 あの子が神様みたいに笑うのをずっと見てた。

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:08:15.17 id:Gqx9SXLWo

 大丈夫だよ、って澪がいう。

 もらった紙のバネを手のひらでつぶさぬよう指に力をこめたら、
 まぶたの奥まで熱にひたされだした。
 それでも見ていてって言われてたから、
 神様みたいなあの子をみてた。

 わかってる。
 光が目に染みたからだ。
 唇が震えるのも、あの子を見る目から熱の滴がこぼれ出すのも、
 朝焼けの光がまぶしかったからなんだ。
 それを今日、私が最後につく嘘にしようって決めた。

 それから大きな手と腕で視界をふさいでくれるまでの十秒間、
 滴がこぼれないように目を細めながら、
 しゃくりあげてしまうのを抑えながら、
 朝焼けの光を受けてほほえむ私の神様を最後まで見てた。

 また暗くなっても
 瞳孔に焼き付いた残像が何年経とうとも消えませんようにって、

 私の神様の姿を ずっとずっと見てた。

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:10:28.67 id:Gqx9SXLWo


  ◆  ◆  ◆

 プラスチック製トレイの上に散らばった紙コップや
 シロップの入れ物や
 バイト募集の宣伝チラシなんかをゴミ箱に押し込めるのは
 なぜか名残惜しくって、

 トレイ置き場の近くで
 サカナクションの歌詞カードと まどマギのDVDを広げて
 何か語ってるカップルと目が合うのも
 ちょっと申し訳なくて、

 もたつきながら一階へ降りると
 レジのそばで私の分まで支度を済ませた澪の声がする。

 生返事で振り向いた先、
 手招いて指さしたケースのなかには
 ハッピーセットのおもちゃが並んでて、
  3番のゼンマイで走るハリネズミがかわいい
 なんて黒目をきらきらさせてるから、
  うちに着いたら買ってやるから
 なんて母親みたいな声で言ったら
「約束だからな」
 って念押しされた。

 いや、自分で買えって高校生。

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:12:42.13 id:Gqx9SXLWo

 ほら、行くぞ、注文だと思われるから、
 なんて手を引こうとしたのに
 指先だけ触れたまま一歩も動けなかったのは、
 私だってここを立ち去るのが名残惜しかったから。

 あは、マックなんてどこにでもあるのに。
 私たち、どこ行っても変われやしない。

「ねえ律、来年またここに来ようよ」

「……その頃には、ハリネズミ売り切れてるよ」

 そうじゃないって、と澪を笑わせる私。

 でも澪は、
 ここが二人で来た一番遠いとこだから、って。
 ここが世界の果てだからって。

 そんなことをレジの近くで言うからこっちが恥ずかしくって
 とりあえず外出ようよ、
 って先にドアの向こうに歩み寄った。

 自動ドア、反応が遅くていらつく。
 外が明るくて消えかけてたガラスに映る自分の顔、
 開いたドアで分かれて一瞬で消える。
 顔にふれる外の風、思ってたよりも涼しいのがよかった。
 指二本ほどでつながってるあいつの手を引いてアスファルトに足を踏み出す。

 と、その足が空を踏んだ。

 よろける。
 手をついて掴まる場所もない、バランスを崩した私の脚は――

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:14:55.63 id:Gqx9SXLWo

「……律。そこ段差あるよ」

 転ばなかった。
 手をくいっと引かれて、かろうじて立ってた。
 まだ寝ぼけてたのかな。
 あきれたため息とほほえみ、つられてにやける私。

「焦らないでいいよ」

「転ばないってば」

 はあ?と澪が聞き返す。

 あ、そうか。
 なんか聞き違えてた。
 なのに向こうは何か納得したみたいで、
 律はあぶなっかしいからな、とうなづいてみせた。
 まるでお母さんみたいで、別の意味で顔が熱くなりそう。

 先に出ようとしたら、それより先に手を引かれて、
 二人で名前も忘れた町のマックから外に出た。
 握りしめてたから、今度は転ばずに済んだ。

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:17:09.20 id:Gqx9SXLWo

 夜遅くに着いた時は物珍しく見えた町並み、
 明るくなって見ればうちの近所と変わらない景色だった。

 ビジネスバッグを抱えた男が
 目の前を抜け、駅前のロータリーに向かう姿を目で追えば
 バス停から同じような格好で会社に急ぐ人たち、
 制服姿でカバンを背負った高校生も見える。

 道の反対側に見えるのは
 あの子たちの両親が出てきたスターバックスで、
 あれをエクセルシオールに変えて、
 数メートルおきのおしゃれな電灯もケヤキの街路樹に変えて、
 バス停前のバーミヤン河合塾の代わりに
 松屋シダックスを増やせば、ほとんど桜が丘駅前通りの出来上がりだ。

 歩道の隣に自転車用の道があるだけ、こっちの方が都会かもね。

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:19:22.70 id:Gqx9SXLWo

「日本って、狭いな」

 早足の人たちにぶつからぬように、
 日陰の部分を選んで歩きながら言った。

「でも、こんな遠くまで来れた」

 澪がいう。

「変わんないじゃん、桜が丘と。なんかさ、ずっと掌の上だった」

「広がったよ、私の世界。
 これから先、マック見るたび、この場所のこと思い出せるよ」

 振り向いて指さした先、
 黄色いMの字と24時間営業の看板。
 狭いビルの3フロア、
 うちの駅前マックの方がまだ広そうで、
 正直言ってかなしくなるほどしょぼい。

「あのね、律。
 変わらないってことは、
 いつでも今日のことを思い出せる、って意味なんだ」

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:21:37.13 id:Gqx9SXLWo

 つまり、発想の逆転だった。
 家に帰って
 お金とか 時間とか 受験や いろいろで
 自分の町から出られなくなったって、
 スタバやセブンイレブンマクドナルドが思い出させてくれる。

 目に焼き付いた色をきっかけに、
 今いる場所のことを少しだけぼやかせば、
 今日や昨日やその前のことをきっと思い出せる。

 きっかけが足りなかったら、肌にでも触れればいい。
 水っぽくて甘ったるいコーヒーでも一口すすればいい。
 そしたらきっと、
 桜が丘に帰っても二人きりの旅が続けられる。
 二人の世界はこわれずに済む。

 そんな子供みたいな思いつき、誰かさんに似ていた。

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:23:50.58 id:Gqx9SXLWo

「唯と連絡取ってたんだ。
 一昨日から、律がぼーっとしてる時とかに。
 さっきコンビニで、
 律のお母さんに借りた交通費を私の口座へ送ってもらった時も、
 ほんとは唯と少し話してた」

 全然知らなかった。
 私ら、やっぱ子供でしかなかったんだ。
 ちっと考えれば、
 警察沙汰になっててもおかしくなかったわけで。

「ううん、最初のキスしちゃったときの、
 いや、その前から唯が聞いてくれてたんだ」

 あは、まじかよ。

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:26:04.09 id:Gqx9SXLWo

「あいつには頭があがんないな、しばらくは」

 ぼやいたら、ちょっと怒ったような声が返る。

「ムギや梓、みんなにもだろ。それにまず、お母さんたちと聡君」

 ……本当だよな。

 こいつは私ほど叱られなれてないだろうし、
 そもそも私が駆け落ちしたようなもんだし。
 駆け落ち? ひゅー。
 ばかいえ、そんなロマンチックなもんじゃなかっただろ。


 でも、と澪が立ち止まって付け加える。
 赤信号だった。

「町も空気も律も、変わっても変わらないものがちゃんとある。
 って実感できた。この旅で」

 横断歩道の向こうにそびえる駅ビルを眺めながら、
 あの子は口ずさむようにいった。

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:28:18.08 id:Gqx9SXLWo

 想像力と体温がつきない限り、どこにだって行ける。
 それだけで、私、これからも生きていける。
 澪がいうのはそういうことらしい。

「だから、私はもう大丈夫。律も私も、二人とも大丈夫なんだ」

 最後にはっきりと付け加えた。

 遠くでバスが停車するブザーが聞こえて、
 青信号とともに無数の足音が広がって、
 頭の上で電線から鳥が滑空しだして、
 そよ風はまだ冷たくて、手の熱はあったかい。

 ここにいてよかった、ってこの瞬間ほんとに思えた。

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:30:31.56 id:Gqx9SXLWo

 信号が青に変わった。
 隣からスーツの女性が一足先に歩き出す。
 続いて学ランの男子生徒たち。
 日傘を差した妊婦さんは、少し遅れて。

 私も渡ろうとしたとき、先に歩き出した澪が、ふっとつぶやく。

  長い寄り道だったな、 って。

 あいつはちょっと笑いをこらえてこわばった顔してたせいか、
 横顔の目元がやけに幼くて、
 六、七歳くらい年下の女の子みたいに一瞬見えた。

92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:35:26.22 id:Gqx9SXLWo

 ああ、そうだ。
 きょうも寄り道して帰るんだったっけ。


「なぁ澪、……いや。みおちゃん」

「んん? どしたの、りっちゃん」

 数十センチ先で私の手を引く澪が、
 後ろを振り返って、私をりっちゃんと呼んだ。
 みおちゃんは待っててくれてる。

 ポケットの中にはさっきのストロー袋。
 今なら私にだって、
 みおちゃんみたいに本当のことを言えそうな気がする。

「あのね、」

 大丈夫、これは嘘じゃないから。


「……だいすきっ!」

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:36:57.23 id:Gqx9SXLWo

 あの子の返事を待った。
 ここから七年くらい経って本当の大人になっても、
 またこんな風に言えてたらいいなとか思ったりしながら、
 澪の返事を待った。


 そして澪が私にいうのがきこえた、

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/30(土) 23:37:38.67 id:Gqx9SXLWo

「……えへ。わたしも!」



おわり。

キョン「もやもや?」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:46:18.18 id:tyqCiVeA0


「やぁ、キョン。偶然じゃないか」

 ある日の帰り道のことである。ハルヒと2人で帰宅していたら懐かしい顔に出会った。
顔を合わせるのは中学を卒業して以来なので、かれこれ1年振りくらいか。

 だというのに、佐々木は相も変わらず涼しい微笑みを浮かべている。俺と佐々木はいつもこんな感じだ。
年月なんか関係なく、会えば昨日も顔を合わせたかのような距離感。
近すぎず、かといってよそよそしいわけではない。俺と佐々木の絶妙な距離感がそこにあった。

「元気そうでなによりだ」

「それはお互い様だよ、キョン。それより、そちらの見目麗しい女性は紹介してもらえないのかな?」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:54:43.55 id:tyqCiVeA0


そう言われて隣のハルヒに目をやる。いつもは喧しいのに、何故か妙な表情で黙りこくっている。
普段からこれくらい大人しいとありがたいんだがね。それはさておき。

「ああ、クラスメイトの涼宮だ」

「そうかい。涼宮さん、キョンのことよろしくね」

 柔らかい表情の佐々木。そういえば同性相手にはそんな顔するんだったな。
別に俺といる時に仏頂面であるとかそういうわけではないのだが、どちらかと言うと悪戯っぽい表情をすることのほうが多い。
だからといってどうというわけでもないが。

「まぁ、積もる話もあるけど、時間がある時にゆっくり話そう」

「そうだな。夜買ったら今度家に遊びに来いよ。妹も喜ぶだろうしな」

「是非ともそうさせてもらうよ」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:59:27.72 id:tyqCiVeA0


じゃあ、またと佐々木と別れた。別れ際に例のごとく悪戯っぽい笑みを浮かべ、

「楽しそうで何よりだよ」

 くつくつと喉を鳴らしていた。一体全体なんのことやらさっぱりである。

「ねぇ、どういう関係なのよ」

 佐々木の姿が見えなくなってからようやくハルヒが口を開いた。

 俺と佐々木の関係ねぇ……。やはり、1番しっくりくる言葉としては『親友』でなかろうか。

「ふーん……」

 質問に答えたというのに、ハルヒの表情は一向に晴れない。晴れないどころか、ますます釈然としないものになっていく。
ハルヒのことなので、その心情は推し量ることは出来ないが、どうも納得しているようではなかった。


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:01:22.70 id:tyqCiVeA0


「今からキョンの家に行くから!」

「はぁ?」

 ハルヒからの思わぬ宣言に驚いて立ち止まる。何がどうなってそうなった。

「さっき観たい番組があるからさっさと帰るとか言ってなかったか?」

「うるさいわね!行くったら行くの!録画してあるから問題ないわ」

 むきーっと言い放つハルヒハルヒがいいなら別に構わないのだが。俺の家に来たところで面白いものなど何もないと思うのだがね。

「ほら、さっさと歩く!」

 時間は有限なんだからと、ハルヒはずんずん歩いていく。軽く嘆息してその背中を追いかけた。


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:03:36.60 id:tyqCiVeA0


さてさて、家までやってきたハルヒなのだが、あれだけ張り切っていたにも関わらず、俺の部屋でごろごろしている。
やはり、ハルヒの考えていることはさっぱりである。

「佐々木さんもキョンの部屋に来たことあるの?」

「ん?ああ、何度かな」

 中学受験の際に、俺に勉強を教えるために何度か訪れたはずだ。まぁ、俺が勉強をしている横で妹と遊んでいたり、
哲学地味た会話を繰り広げただけなのだが。

「……ずるい」

 何がだ?

「知らない」

 ハルヒは答えずに、枕に顔を埋めて足をばたばたしている。健康的な御身足が見え隠れしていささか扇情的である。

「スカート捲れるぞ」

 俺の忠告を無視して尚も足をばたつかせる。まったくなんだってんだ。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:05:28.21 id:tyqCiVeA0


「こっち来なさいよ」

 足を止めたハルヒが、枕から少し顔を上げてこちらをじとーっ睨みつける。

 そんな風に睨まれたところで躊躇してしまう。普段、寝起きしている我がベットとはいえ、
流石に「はいそうですか」というわけにはいかないのである。

「いいから!」

 更なる催促。これ以上機嫌をそこねると、どこぞのニヤケ面した超能力者が過労死する可能性が上昇してしまう。

「へいへい」

 腹を括る。いや、別にそんな大層なものではないとは思うのだがね。
せめてもの抵抗とベットの端にちょこんと腰掛けた。

「えい!」

 ハルヒに引き倒される。いやいや、ちょっと待て。


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:08:29.08 id:tyqCiVeA0


「うるさい。黙ってて」

 非難の声をあげようとするも黙殺される。哀れな俺はハルヒの抱き枕と化すのであった。

 力一杯抱きしめられる。そんなに強くしなくても逃げ出しはしない……たぶん。

「なんかもやもやするのよ」

 ハルヒにもふもふと匂いを嗅がれる。気恥ずかしい気持ちでいっぱいだが、俺の鼻腔もハルヒの匂いで満たされていく。

「しばらくはこのまんまよ」

「さいですか」

 そんなわけで、ハルヒの心行くまで俺は抱き枕に徹するのであった。


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:10:37.92 id:tyqCiVeA0


終わり


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:22:36.91 id:tyqCiVeA0


キョン「夏の終わり?」

 夏休みも最終日を迎え、夏の終わりをしみじみと実感する。長かったようで短かった夏休み。
今年も夏期合宿を筆頭に、昨年と同様――いや、それ以上にハルヒには引っ張り回された。もうこれでもかというぐらい振り回された。
体も心もへとへとになってしまったわけだが、それなりに充実していたと訊かれれば頷ざかるを得ない。

 まぁ、そんな夏休みだったわけだが流石に最終日くらいは朝寝という惰眠を貪り、のんびりと過ごしたいと思っていた。
そう、過去形なのだ。そんな俺の休日をぶち壊しにしてくれるやつは数える程しかいない。むしろ特定の人物に決まっていたりする。
俺の特殊な事情を多少なりとも知っているなら直ぐにその特定の人物に思い当たるだろう。

そう、涼宮ハルヒである。


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:24:56.99 id:tyqCiVeA0


キョンくんあさだよ~」

 今日は起こさなくていいと言ってあったはずなのに、何故か普段と同じ時間に妹に叩き起こされた。
だがしかし。今日はなんといっても8月31日である。

 そんなことをされても俺は起きないという断固たる意志を見せるべく布団を頭から被り直した。
これで諦めて出ていってくれるだろう。

「ハルにゃん、キョンくんおきないよ?」

「やっぱり妹ちゃんじゃあ軽すぎるのね。ここはあたしが一発フライング・ニーを見せてあげるわ」

 行くわよ~という気合いの入った我が家に存在するはずのない声。おい、ちょっと待て。
そんなはずは無い。俺の灰色の脳細胞は――ん?なんかいろいろと違うような気がするがこの際は構わない。
そんな些細な疑問はアンドロメダ辺りに置いといて、だ。早急に確認すべき事象がある。

「おい、何でハルヒが――」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:28:22.47 id:tyqCiVeA0


勢いよく起き上がったのがいけなかった。かばりと布団を跳ねのけて起き上がった矢先に俺の顔面に膝がめり込んだ。
プロレスラーだって失神するような見事としか言い様が無い一撃。

「あっ……!って、キョン!何やってんのよ!?」

 ハルヒのぎゃーぎゃーという文句とともに俺は望んでいた二度寝を失神という形で果たすことと相成った。

「遊びに行くわよ」

 不幸なことに、俺の二度寝は僅か数分で終わった。焦ったハルヒが俺の胸元を掴んで前後に激しく脳ミソをシェイクしてくれたおかげでな。
で、悪夢から目覚めて改めて向き合ったハルヒの第一声がこれである。謝罪の言葉なんてものは遥か彼方に置き忘れてしまったのか。
主語も目的語あったもんしゃない。いや、目的語はあるか。どうも頭が上手く回らない。

「謝罪を要求する」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:31:15.04 id:tyqCiVeA0


「嫌よ。何で団長のあたしが平団員に頭を下げなくちゃならないのよ」

「そうか。なら勝手に遊びにでも行ってくれ。俺は寝る」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!団長命令よ?キョンに拒否権なんか無いんだからね!」

 知るか。謝罪もできんやつと遊びに行けるか。などといつになく強気な俺。ひとえに寝起きで頭が上手く回っていないおかげだろう。
まったくありがたくない。

「――……悪かったわよ。これでいいんでしょ?ほら、さっさと着替えなさい」

 まだまだ言いたいことはあったがこれぐらいにしておこう。
これ以上刺激するようなことになってはどこぞの爽やかスマイル0円の超能力者のバイトを増やすことになりかねない。

「それで、どこ行くんだ?」

 母親のにやにやした視線を黙殺しやってきたのは何時もの駅前。朝食もろくに摂ってないせか、若干腹が減っている。

「映画なんてどうかしら?」

「映画?そういや面白そうなのが幾つか公開してたよな」

 魚のアニメやデスメタル、はたまた本格科学冒険映画みたいなやつか。


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:34:02.47 id:tyqCiVeA0


「で、どれを観るんだ?」

 正直なところ、あまり乗り気ではない。しかし、ボーリングなどのように体力を使わないという点に置いては賛成である。

「これよ」

 ハルヒが手に持ったパンフレットを鼻先に突き付けられる。いつの間に買ったんだ、それ?

「この子供の頃の与太話とかがやたらスケールが大きくて面白そうじゃない」

 確かにハルヒの好きそうな内容ではあるな。番宣程度の知識しかないけどな。

「ほら、チケット買うわよ」

 左手を掴まれズルズルと引きずられていく。無理矢理連れてこられたわけだが、
ハルヒが奢ってくれるわけもなく自腹を切ることとなった。
当たり前か。映画と言えばポップコーン。ポップコーンと言えば映画と言っても過言ではない組み合わせ。
映画館で食べるポップコーンは格別というか、自宅で映画を観ながらポップコーンを食べても味気ないものである。
小腹も空いていたので丁度いい。売店でポップコーンとコーラを購入した。


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:37:20.62 id:tyqCiVeA0


「何でお前は我が物顔で俺のポップコーンを食べてるんだ?」

「べふにひひじゃなひ」

 ハムスターのように頬を膨らませてもしゃもしゃと咀嚼するハルヒにため息しか出てこない。

 さて、映画館での座席といえば左右にひじ掛けがついていのだが、それの占有権を取れるかどうかで映画をじっくりと楽しめるかどうかが決定する。
時間が早いせいもあってか、幸いなことに館内はあまり混んでおらず、ゆったりと座ることが出来た。
俺の左隣にはハルヒ、右は空いている。ハルヒも対称ではあるが同様の状況下にある。
つまり、ハルヒと俺の間のひじ掛けをゲットできるかどうかで話は変わってくる。

「ちょっと、キョン。邪魔だから手どけなさいよ」

「断る」

 身を削り合う攻防の結果、俺が占有権をとることとなった。これでじっくりと映画が観れると思った矢先、
あろうことかハルヒは俺の手の甲に手を乗せやがった。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:39:30.71 id:tyqCiVeA0


「おい、何やってんだ?」

「ふん、知らない」

 文句を言おうとしたところで場内の灯りが落ちる。これ以上の私語は他の客に迷惑だということで渋々黙った。
なんとく手のひらを返してみる。ハルヒの手のひらと俺の手のひらが合わさった。ついでに指を絡めてみた。
ハルヒは怒るかなと思ったが、特に動じた様子もなく画面を食い入るように見入っていた。そんなハルヒの横顔をずっと眺めていた。

 映画を見終わった後は買い物に付き合ったりと、夏休みの大半と対して変わらずにハルヒにぶんぶんとハンマー投げのように振り回された。別れ際にハルヒがまた明日などと言って少しだけ寂しそうにしていたことを除けば、特筆するようなことはなかったと思う。

 帰路に着いたところで、そういえば二人っきりで遊びに出掛けるなんて、まるでデートみたいだなと思った。

 後日、ハルヒ以外のメンバーにそのようなことを話したところ、思い切り呆れられてしまった。

 なんでだ?


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:40:59.73 id:tyqCiVeA0


終わり


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:49:59.11 id:tyqCiVeA0


キョン「卒業?」

 いつものように部室の扉をノックした。もはやノックをする必要性など無いのだが、
二年近くも繰り返してきた動作を急に止めることなんて出来やしない。頭ではわかっていても、
身体のほうがそれについていかない。しかし、それにすらそのうち慣れてしまい、
ノックしなくなることを考えると些か淋しいものがある。

「……」

 返事が無いことを確認するまでもなく扉を開けた。いつものように長門が本を読んでいる。
そう、いつものように、だ。それ自体別に珍しいことでも何でもない。
しかし、心の持ちようによってそれは、いつもとは違った風景のように感じてしまう。
しかも、この場合は埋めることが出来ない穴が空いてしまっている。ピースの欠けたパズルのように、
当たり前だった部室の風景が不完全なものになってしまった。

 ぼんやりと長門の姿を眺めているうちに、ハルヒと古泉がやってきた。これで全員。どうしても足りない。
そう、一週間前に朝比奈さんは卒業してしまったのだ。もちろん、未来に帰ってしまったとかそういうのではなく、
単に北高を卒業しただけなのだが、それでも違和感というか何かが足りないという変な気分だ。

 ハルヒハルヒで、朝比奈さんがいないことに慣れないのか、よく朝比奈さんにお茶をいれるよう頼んでいる。返事が無いことにはっとなって、淋しそうな、なんとも曖昧な表情をするのだった。


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:53:20.58 id:tyqCiVeA0


将棋を差す手が止まった。現在古泉は、角と飛車のどちらを俺に献上するかで迷っている。古泉が長考に入ったせいで、俺は少々手持ちぶさたになってしまった。熱いお茶でもいれようと思い、何気なく席を立った。

「あ、キョン。お茶いれるならあたしのもついでにいれてちょうだい」

「……わかった」

 いつもなら俺は『そのくらい自分でやれ』とでも言ってハルヒと文句の応酬をするのだが、今日に限ってはハルヒの命におとなしく従うことにした。
俺もハルヒも朝比奈さんがいないことを十二分に意識しているのだ。

 今度お茶を美味くいれるコツなんかを聞いておこう。朝比奈さんは、卒業したとはいえ週末の不思議探索には参加してくれている。
その時でいいだろう。

「ほら、熱いから気を付けろ」

「ん、ありがと」

 普段は礼など言ったことのないハルヒが、パソコンから目を離さないとはいえ、礼を言った。

 思わずハルヒの顔をまじまじと見てしまう。


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:55:53.80 id:tyqCiVeA0


「何よ?」

「いや、珍しいこともあるもんだなと思ってな」

「あたしだってそういう気分の時もあるわよ」

「そうか」

 そういう気分がどういう気分かはわからないが、その気持ちはわかるような気がした。

「ほい」

 頼まれてはいないが、もののついでに長門の分もいれてみた。不味いと思うが我慢してくれ。

「……感謝」

 本から顔を上げ、ただそう一言述べて再び本に目を落とす。長門らしいというか何というか。
もしかすると気を遣ってくれたのだろうか。

「おや、僕には無いんですか?」

 こちらは女性のみのサービスとなっております。つまり、野郎はセルフでどうぞってことだ。

「……冷たいですね」

 古泉のぼやきは無視して、席に着く。どうやら古泉は角を差し出すことに決めたようだ。お茶を一口飲む。
青汁のCMではないが、不味い。朝比奈さんのいれたお茶はそのままでも美味しい上に、さらにあの笑顔がついている。
スマイルは0円だが、心がこもっていればプライスレス。


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:57:41.08 id:tyqCiVeA0


「物足りないわね……」

 ハルヒも同じような結論に達したのか、不満そうな表情を浮かべている。

「みくるちゃんはSOS団のマスコットキャラなのに、卒業しちゃったら意味無いじゃない!」

「……まぁ、仕方ないだろ。それに、別に辞めたわけじゃないんだから」

「それはそうだけど……。よし、みくるちゃんの代わりにキョンがメイド服を――」

「断る。目に毒だ」

「それもそうね」

 自分のアイデアだというのに、あっさりと却下。ハルヒも朝比奈さんの代わりなんていないことを理解しているらしい。

「なんだ、淋しいのか?」

「そりゃ、淋しいわよ……」

 卒業式の日、朝比奈さんではなくハルヒが号泣していた。らしくないようでなんともハルヒらしい光景であった。
それだけ、朝比奈さんという存在がSOS団、いや、ハルヒにとって大きいということだろう。


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:01:28.54 id:PIXeIqoC0


「みくるちゃんが留年すれば良かったのに」

 もしハルヒが本当にそう願っているとしたら、朝比奈さんの卒業が取り消しということになりかねない。それはそれで嬉しいかもしれないが、流石にそういうわけにはいかないだろう。

「……なんて顔してんのよ。冗談に決まってるでしょ」

 朝比奈さんの卒業が取り消しになったとしたら、ハルヒの涙も無駄になってしまうからな。

「うっさい、バカ」

 卒業式の日のことを思い出して照れ臭くなったのか、ハルヒはそっぽを向いた。
その横顔がどことなく赤い。

「卒業したからってみくるちゃんとここで過ごした時間が無くなるわけじゃないわ。
それに、週末には逢えるんだから」

「……そうだな。それに、今度の不思議探索の時に思いっきり朝比奈さんに甘えたらいいさ」

「もちろんよ!これでもかってくらいみくるちゃんにひっついてやるんだから!」

 ハルヒに抱きつかれて困ったように、しかし、嬉しそうに頬笑む朝比奈さんを想像しながらお茶を一口飲んだ。少しだけ、お茶が美味しくなったような気がした。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:02:25.51 id:PIXeIqoC0


終わり


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:17:52.86 id:PIXeIqoC0


古泉「気苦労?」

 どうも、古泉です。只今不思議探索の真っ最中なのですが、少々困ったことになっています。
大袈裟に言うわけではありませんが、世界が危険に晒されている状況だったりします。
何のことはありません、涼宮さんがご機嫌斜めだということです。その原因についてですが、痴話喧嘩です。
涼宮さんの機嫌が悪くなる原因の9割は彼との痴話喧嘩に因るものですから。痴話喧嘩なんて言ったりすると、
二人ともきっと必死で否定するでしょうが、端から見ている第三者からすると痴話喧嘩以外の何ものでもないのです。

「…ったく、ハルヒのやつはいちいち細かいんだよ。別に待ち合わせ時間に遅れたわけじゃないってのに――」

 くじ引きによる班分けで、彼と僕がペアになったわけですが、先程からこの調子で涼宮さんに対する文句を呟き続けています。
今日の喧嘩の原因は、彼が涼宮さんより集合が遅かったということです。そのことを涼宮さんがいつものように注意したところ、
極稀なことですが彼が反論しました。そこから二人の痴話喧嘩が始まったわけです。かなり微笑ましいモノを感じますが、当人にしてみればそうでもなさそうです。

 彼の真似をするわけではありませんが、やれやれと肩を竦めたいところです。
毎回毎回お二人の仲を取り持つ役割は僕に回ってくるわけで、気苦労は絶えません。彼は常々損な役回りをさせられているとこぼしていますが
、はてさて僕と彼ではどちらが損をしていることやら。

 まぁ、そんな思考はひとまず置いておきましょう。


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:22:19.70 id:PIXeIqoC0


「涼宮さんはあなたにもう少しキチンとしてほしいから、ああやって小言を仰るのですよ」

「ふん、余計なお世話だ」

 涼宮さんの感情の変化を敏感に読み取った結果を素直に述べたところ、彼に一蹴されました。
まったく、二人とも人の話を聞かないと言いますか、自分に絶対的な自信とプライドをお持ちのようで。
さらに、そのプライドがことさら発揮されるのが二人が一緒にいる時ですから、これも悩みの種となっています。

「そもそも、どうして俺がハルヒにキチンとしろと注意されなくてはならんのだ。どうせSOS団の面子に関わるだとかなんとか言うんだろうけどよ…」

 僕はあからさまにため息を吐きます。本当に鈍感なのもいいところでしょう。彼はもう少し夢を見てもいいのではと思います。
全てを頭から否定し、自分の都合の言い様に解釈するのが彼の悪い癖であり、長所でもあります。
客観的意見は時として意味を為さないモノだということを彼に学んでもらいたいものです。

「だいたいだな、やることなすことアイツはいつも無茶苦茶なんだよ。もっと計画性を重んじろ言ってやりたいね」

 それでも何だかんだで彼は涼宮さんの後を追い掛けます。無茶苦茶なら無茶苦茶な割に道を踏み外さないように手綱を握ってやる。
文字通りじゃじゃ馬を乗りこなすと言ったところでしょう。そう伝えると、彼はまさかという表情をして全力で否定の意を唱え始めました。
本人も無自覚というわけで無い証拠です。


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:25:06.36 id:PIXeIqoC0


「まったく、憶測で物事を言うのはやめろ」

「憶測、というわけではありませんよ。お二人の御様子をつぶさに観察した結果を基に意見を述べているだけですが。
お気に召しませんでしたか?」

「ああ、召さないね。大いに気分を害されたよ」

 どうしてこうも素直になれないんでしょうか。先程も言いましたように、やはりプライドが邪魔をしているからなのでしょうか。
ここはそのプライドを刺激しつつ涼宮さんの方へ仕向けてやるしかないでしょう。

「では、話を変えましょう。例えば涼宮さんが誰かに告白されたとしましょう。あなたは涼宮さんがどうすると思いますか?」

 彼はわけが判らないといった顔をしましたが、しばらく迷った挙げ句こう答えました。

「俺はハルヒの思考回路を理解できるわけじゃないが、きっとアイツは断るだろうよ。
そんじょそこらの連中にアイツを満足させることなんか土台無理な話だからな」


 あまりに的確過ぎる回答に、僕は思わず笑ってしまいました。彼が如何に涼宮さんのことを気に掛けており、
如何に観察しているかがよくわかります。そして、同じような質問を涼宮さんにすると、きっと彼なんかを好きになるやつなんていないと答えるでしょう。
お互いに信頼しあっているという証拠です。


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:27:15.37 id:PIXeIqoC0


「で、今の質問の意図は?」

「特にありませんよ。単なる好奇心から来るものといっておきましょうか」

「くだらん」

 照れ隠しからか彼はそう吐き捨てて、さっさと先へ行ってしまいます。本当に分かりやすい性格をしています。
おっと、朝比奈さんからメールです。

『涼宮さんは一応機嫌が良くなりつつあります』

 それは何よりです。きっと朝比奈さんが色々と気を遣ってくれたに違いありません。
後は、本人たちに任せておけば大丈夫でしょう。

『了解です。長門さんに、午後は彼と涼宮さんをペアにしてもらえるように頼んでおいてくれませんか?』

 これで良し、送信。

 しつこいようですが、お二人がもっと素直になってもらうしか解決方法はありません。我々はそれを手助けするだけ。
やれやれ。まったくもって損な役回りです。


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:28:28.48 id:PIXeIqoC0


終わり


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:37:12.95 id:PIXeIqoC0


キョン「修羅場?」

 暑い夏がやってきたところで日々の生活にさして変化があるわけではない。退屈な授業が終われば熱射病みたいなハルヒに引きずられて部室へ直行。
古泉とオセロやら将棋をして時間を潰すことが大半ではあるが、たまにハルヒに相手をさせられることもある。そんな時は少々アレなのだが、
比較的穏やかな日々を送っている。

 さてさて、そんなある日のことである。今日は掃除のせいで部室に行くのが遅れてしまった。
ハルヒはそういうことに対してもう少し寛大になるべきなのだが、掃除なんかサボれなどとあるまじきことを宣う。
いや、別に掃除をそこまで一生懸命にしているわけではないのだが、調和を乱す行為を嫌う日本人としては当たり前である。
ハルヒは調和などといったものはつまらないの一言で一蹴しそうではあるが……。

 部室のノックをして返事を待つ。この時間帯ならもう全員揃っているだろう。そんなことを考える間もなく、はぁ~いと返事が返ってくる。
もう朝比奈さんの恒例となったコスチュームチェンジは終了しているようだ。安心しと扉を開けた。
出迎えてくれた朝比奈さんの御姿を網膜に焼き付けながらいつもの席へ。

 本当に眼福である。


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:38:49.47 id:PIXeIqoC0


「あ、お茶入れますね」

 そう仰ってトテトテと動き回る御様子はなんとも癒される。この東京という名の人間砂漠に咲いた一輪の花といったところか。
別にここは東京でも何でもないが。そういう気分なのだ。

「お待たせしました~」

 熱いから気を付けて下さいねと微笑まれ、何故か俺の座っている正面に回り込んで前屈みになりつつ湯呑みを置いて下さった。
いや、その態勢だとふくよかな胸が強調されて――

「どこ見てんのよエロキョン!」

 別に見ようと思って見ていたわけではない。不可抗力だ。なんてことを言ったところでハルヒは聞く耳を持ってくれないんだろうね。
怒りを顕に団長席からずんずんと近づいてきてどかっと乱暴に俺の隣に座った。

「……何をしてるんだ?」

キョンがみくるちゃんに変なことをしないように見張るのよ」

「だったらこんなに席をくっつける必要はないだろ?狭いんだが」

「うるさいわね。つべこべ言わないの」

 やれやれと言いたくなるのを我慢して、はいはいと投げ遣りに相づちを打って終わりにする。
夏真っ盛りなのに、肩が触れ合う距離でいるせいか正直なところ暑い。ボタンを一つ外してパタパタて胸元に空気を送り込んでやる。
たいした冷却効果を得られるわけではないが、幾分か涼しくなったような気がした。


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:41:35.67 id:PIXeIqoC0


「どうかしたのか?」

「な、何でもないわよ!」

 視線を感じてハルヒの方に顔を向けると、顔を思いっきりそらされてしまった。
その横顔は暑さのせいかいささか紅潮しているようだった。

「本当に暑いですよねぇ」

 朝比奈さんも何やら胸元に風を――って、待て待て待て!ハルヒ熱湯はマジでヤバイ!

「覗いてんじゃないわよ!ホントエロキョンは隙があったもんじゃないわ。みくるちゃんはあっちに行ってなさい。みくるちゃんのこと襲わないようにあたしが付きっきりでエロキョンの面倒は見とくから」

 酷い言われようである。
今回のことも不可抗力だと言い張りたいのだが、付きっきりとかなんとかで俺の腕にしがみついているハルヒのせいで正常な思考が出来ない。
別に柔らかいんだなとか思っているわけではない。ただ、脳ミソが溶けそうなくらい暑いのだ。
朝比奈さんが入れてくださった熱々のお茶にも負けないのではなかろうか。もしかすると沸騰しているんじゃないかと少し心配になる。

「何ボーッとしてのよ?また変な妄想してんじゃないでしょうね」

「またってなんだ、またって」

 非難の声を上げるが、間近で見るハルヒの顔に見惚れてしまいそうに――だ、断じてそんなことはない。
やっぱり暑さでどうかしてしまったんじゃなかろうか。どうにもさっきからまともな思考が出来ていない。


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:42:41.83 id:PIXeIqoC0


「むぅ……。涼宮さんもなかなかやりますね」

「えっと、何か言いましたか?」

「いえ、何にも」

 天使様がにっこり。隣で般若様もにっこり。ああ、脳ミソが沸騰する。
というか、そんなに腕をつねると身が引き千切れるから止めていただきたい。

「みくるちゃんにへらへらしてんじゃないわよ。エロキョンはみくるちゃんの半径3m以内に近づいたらダメだからね。あ、あと喋りかけてもダメだから」

 なんだ、そのアメリカのストーカー裁判の判決のようなものは。別に俺は朝比奈さんのストーカーでも何でもない。
むしろ、朝比奈さんをストーカーから守る正義の味方といったところか。自分で言ってて悲しいが、俺にはそんな主人公体質は無い。
精々名も無き一般生徒Bぐらいが妥当なところだろう。


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:45:05.29 id:PIXeIqoC0


「あ、あしがすべりましたー」

 そんな棒読みくさい台詞が聞こえたと思ったらハルヒとは逆側から柔らかい衝撃が。
いやいやいやいや、それはないだろう。朝比奈さんは確かにおっとりしていらっじゃるが、意外に歳上らしい落ち着いたところもある。
そんな方が足を滑らすだろうか。百歩譲ってあったとしよう。だからといって、足を滑らせて俺に抱きつくようなことが有り得るだろうか。
ああ、神様ありが――

「何やってんのよ、こんのエロキョンがー!こら、さっさと離れなさい!」

「あ、あ、大変です。腕が絡まっちゃいました~」

 ええ、ええ、大変でしょう。でも俺はもっと大変なことになってますよ。ハルヒに首を掴まれて頭をシェイクされてますからね。

 意識が失くなる瞬間、長門と目が合った。普段はあまり感情の籠もらない瞳が、羨ましそうだったのは果たして幻想か。
残念ながら、俺にはそれを確認する術はなかった。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/01(木) 00:45:53.54 id:PIXeIqoC0


終わり

長門「みんなー☆はろにちはー!☆」

キャラ崩壊あり

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 21:32:30.17 ID:2Ac/6tll0
キョン「!?」
みくる「長門さん……?」
長門キョンくん今日もかっこいいなぁ…☆大好き!!みくるちゃんはボインボインで羨まCー☆」
ハルヒ「あ、あの…」
古泉「これは…?」
長門「はるにゃん♪はるにゃん♪古泉くんチンポジまっがーれ♪」

一同「……。」
長門「……忘れて」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 21:39:03.06 ID:6hgRB5pq0
なにこれもえる

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 21:48:13.72 ID:2Ac/6tll0
キョン「な、長門…どうしたんだ?」
長門「なんでもない」
キョン「いや…でもさ」
長門「なんでもない。なんでもない」

キョン「さっきの長門可愛かったんだけどな…」
長門「なんでも……」



長門「えっ」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 21:59:29.89 ID:2Ac/6tll0
長門「かわいい?ほんと?」

キョン「あぁマジだ。抱きしめたくなる可愛さだった」

古泉「ふ、ふふふんもっ//んっふんっ」シコシコシコ
みくる「古泉くんが大変ですぅー!!マジで超ヤバいですぅー!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:00:46.22 id:YppXcIZD0
古泉発狂ww

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:08:39.69 ID:2Ac/6tll0
ハルヒ「キョ、キョンくん☆おっはー!!」

キョンハルヒ!?」
ハルヒ「な、なにかな?☆」(どきどきどきどき)

キョン「テンションおかしいだろ……いきなり…」
キョン「しかも呼び捨てじゃないなんて何を企んでんだ」
キョン「正直ないわ」

みくる「キョンくん超ヤバいですぅー!!怒涛の攻めですぅー!!涼宮さんかわいそうですぅーwwwwwwやめたげてくださぃいーwwwwww」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:11:23.83 id:bpXhd5hxO
>>1
おい












お前は天才か!?

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:17:03.68 ID:2Ac/6tll0
長門キョンくんだっこしてー☆」
古泉「!!!」シコシコシコシコシコシコ

キョン「み、みんないるからなぁ…」

長門「いいじゃん!いいじゃん!」
長門「もしかして、ゆきのこときらい?」
古泉「長門さんッ!!中に出しますよっ!!」シコシコシコシコシコシコシコシコ

みくる「あいつ超ヤバいですぅーwwwwwwwwやべ素wwがでとるwwwwwみくるwww自重ww」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:19:31.17 id:bVbwT7IN0
oh...

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:22:10.17 id:bpXhd5hxO
朝比奈さんがwwwwww

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:28:01.05 ID:2Ac/6tll0
キョン(なんだこの状況…。ハルヒは死にそうな顔だし、古泉は精子の量がやばい目測1リットルはでてる)
キョン(そして長門は膝の上……。)

キョン「正直たまらない。長門の太もも綺麗すぎだろ!!さっきからちょっと触ってるけどバレてないよな…?」

みくる「声にでとるwwwwwwwwキモいですぅーwwwwww」

長門キョンくん!?」

キョン「う、動くな長門!ヤバい!!」 ムクムク

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:34:05.59 ID:2Ac/6tll0
長門キョンくんー?おしりのしたで何かが動いてるー☆」

キョン「き、気にするな」

長門「くすぐったいよー」

みくる「長門さんwwwwそれキョンくんのウィンナーですよーwwww」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:35:04.26 id:YppXcIZD0
長門が突如、素に戻ったりを繰り返して
キョンのメンタルをしっちゃかめっちゃかに!

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:39:40.17 ID:2Ac/6tll0
長門「えっ」



キョン「そこ素になるなよ…」

長門「……。あなたのペニスの膨張が止まらない」

古泉「僕のも止まらないッ!!」ドビュ

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:45:33.44 ID:2Ac/6tll0
長門「する?」



キョン(ま、まさかあれを?でもハルヒ達がいるんだぞ?でもここまできたら、しなければ男ではないのでは!?)
キョン(い、いや、あれと決まったわけではないからな、まさか長門がそんなこと)


長門「おーい?☆キョンくーん?えっちしたいのー?」
キョン「したいしたい超したいやばいしたい長門萌え」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:48:16.31 id:bpXhd5hxO
パンツ脱いだからな

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 22:56:57.16 ID:2Ac/6tll0
キョン「……いいんだな、長門

長門「かまわない、私は以前からこうなることを待ち望んでいた」

キョン長門…?」

長門「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インター フェースの私を守ってくれていたのは貴方。長門有希を見ていてくれていたのは貴方。」



長門「私は貴方のことを……愛している」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:01:19.67 ID:2Ac/6tll0
キョン長門、俺も愛してるよ」

長門「わたしのほうがキョンくんのこと大好きなんだから!!☆」

キョン「いーや俺だね」

長門「わたしだよっ!」
古泉「僕ですッ!!」ドビュドビュッシー


長門「……。古泉一樹を敵性と確認」

古泉「それでもッ!!ぼくはしこるのをッ!!やめないっ!!」 シコシコシコシコシコシコ

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:15:27.75 ID:2Ac/6tll0
ハルヒ「こ、こんなの、ありえない!!」

キョンハルヒ?」

ハルヒ「これは夢なのよ!!夢以外ありえないわっ!」
みくる「空気嫁wwwwwwww」
ハルヒうるさいうるさいうるさい!」

古泉「この感覚…閉鎖空間です!」

みくる「そ、それはまずいです!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:17:48.81 ID:2Ac/6tll0
みくる「せっかくわざわざ秋葉まで行って同人誌買い込んだりしたのにまた行くのはめんどくさいですぅ!!」

古泉「だめだこいつ、終わってる…。」
キョン「お前が言うなよ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:23:48.60 ID:2Ac/6tll0
長門「この量は私でも操作しきれない」

キョン長門でも無理ならいったい誰が…!?」

キョン「せっかく…長門と想いを伝え合えたのに!!」

みくる「もうむりぽ…」


???「困ってるようだな」
キョン「お前は!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:25:15.87 ID:ma+cRoP+0
た、たにg…

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:27:40.45 ID:+wMIdVLd0
さ、ささk・・・

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:28:31.08 id:NSlFkQll0
も、もr…

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:31:46.35 ID:2Ac/6tll0
キョン「獣王クロコダイン!!!!」

クロコダイン「あいつを倒せばいいのだろう?」

キョン「頑張れ!クロコダイン!」

長門「目をさまして、それは涼宮ハルヒの夢の一部、恐らくあの漫画の影響を受けた涼宮ハルヒがこの空間に呼び出した」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:35:30.73 id:hoHeUZ9w0
…え?

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:36:37.44 ID:2Ac/6tll0
クロコダイン「ぐわああああああああ! 」

古泉「クロコダイン!!!!」シコシコシコ

キョン「古泉まで…。クロコダインが現実の物ではないとわかっていても見てらんないな…。てかハルヒどうやって倒したんだ」

長門「閉鎖空間を止めるには彼女に私達の関係を認めてもらうしかない」

キョン「やっぱりそうするしかないか」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:36:54.12 ID:ma+cRoP+0
ぐわあああああああああああ

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:42:17.03 ID:2Ac/6tll0
キョン長門…。ここは俺一人にやらしてくれないか?」

長門「わかった…。私は貴方を信じてる」

キョンくんこっちむいて!☆
キョン「なんだ?…!!」

長門「チューしちゃったー☆」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:46:56.97 ID:2Ac/6tll0
キョン「あとで続きをしよう、長門
長門「待ってるね、キョンくん」

古泉「クロコダイン!!!!」シコシコシコドビュ
それにしてもクロコダインの死体と古泉の精液が交わりとてつもない異臭だ…。

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:51:07.21 id:iRyLsG610
カオス

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:53:19.85 ID:2Ac/6tll0
キョンハルヒ、もうやめよう」

ハルヒ「……やめないわよ」

キョン「俺の想いは変わらない。俺は長門を愛している」
ハルヒ「だって!!私だって…!あんたのこと……。」
キョン「ごめんハルヒお前の想いには答えられない」

ハルヒ「ずるい……。謝られたらこっちはなにも言えないじゃない…。くやしかっただけなの。有希に嫉妬してた」

ハルヒ「ねぇキョン、最後にギュッて抱きしめて」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/11(火) 23:57:47.70 ID:2Ac/6tll0
キョン「あぁ…。」ギュッ


キョン妹「朝だよキョンくーん!」

あれ? どうなってる?
成功した……のか?

キョン妹「有希ちゃんもう家にくる時間だよー!はやくはやく!」

キョン「…!あぁ、そうだな!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:01:12.70 ID:C2+oiA8N0
長門キョンくーん☆おはもーにん☆」

キョン「おはよう。長門。」


ーおわりー

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:06:22.84 ID:C2+oiA8N0
古泉「どうやら部室で一夜を過ごしたようですね……。」
古泉「なんですか!!この匂い!!!マーベラス!!」
古泉「精液のようなものと血液がまじったこの味」ペロペロッ

古泉「ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ」

古泉「ふぅ…。」
古泉「…みなさんがくるまでアナニーでもしますか…」

古泉「んもっふんもっふんもっふんもっふ」

ーおしりー

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:09:51.47 ID:C2+oiA8N0
見てないと思いますがこれで終わりです

落ちると思ってたのでなんも考えてなくてグダグダでしたが許してください。

ありがとうございました

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:11:46.51 id:RqOCMqC20
乙もーにん☆

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:13:24.36 id:m1oDLFYf0
乙でしたー!

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:18:32.90 id:jLQlqFLR0
朝チュンへの流れでびびった

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:18:39.09 id:z1oyEy1/0
乙!
よく頑張ったくれた!!
ありがとう

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/12(水) 00:19:10.76 id:JVxiz+Sr0
よく頑張った

梓「手打ちうどん作り体験の前日に唯先輩の浮気がバレた」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:13:50.24 :Gqx9SXLWo


うどんこうじょう!


憂「昨日の今日で、よく行く気になったよね」

梓「・・・・」

唯「・・・だ、だってお金もう三人分払っちゃったしっ」

梓「妹と後輩に手を出しておいて次の日うどんですか」

憂「自分のしたことの重さ、ちゃんとわかってるの」

唯「すみません・・・」




4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:20:28.73 :Gqx9SXLWo


梓「私、今後のことを話し合うのかと思って来たんですけど」

憂「人並みの神経してたら普通そうするよね」

唯「はい・・・」

憂「来る途中で嫌な予感はしてたんだ。
  前もって調べといたうどん屋の住所に近づいてってるから」

憂「でも、わたしはお姉ちゃんを信じてたんだよ」

梓「・・・」

憂「わたしは、お姉ちゃんを信じてたんだよ」

唯「・・・う、うどん粉が来たよっ!!」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:22:42.25 :Gqx9SXLWo


唯「あは、ははっ、
  えーとそのっ水をいれるから、麺の硬さはどのくらいに」

憂「やわらかm 梓「かため」

唯「・・・・・」

憂「お姉ちゃんはやわらかい方が好きなんだよ?
  うちでパスタゆでる時も30秒長くしてるんだよ。
  そんなことも知らないでよく彼女づらしてきたよね、この泥棒猫」

梓「お祭りで先輩にたこ焼きおごってもらった時、硬いの好きって言ってたもん。
  あ、もしかしてデートらしいデートもしたことないのかな?
  ふふっ、かわいそうに」

唯「・・・そ、そんなのどっちでも」

憂梓「「よくないッ!!」」

唯「ひぃっ?!」



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:24:55.70 :Gqx9SXLWo


唯「あっっそうだ!!じゃあ間をとって普通くらいで」

憂「はぁ・・・」

梓「・・・麺の硬さも選べないほど優柔不断なんですよね。
  あなたという人は」

憂「そうやってどっちつかずのまま二股かけてきたんだね」

唯「・・・もぉ私が悪かったから今はうどん作ろうよ~!!」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:27:09.02 :Gqx9SXLWo


憂「・・・」コネコネ

梓「・・・」コネコネ


唯「あ、ええとっ、・・・やっぱり親子で来てる人が多いねえ!」


梓「心底どうでもいいです」コネコネ

憂「口より手を動かしてよ役立たず」コネコネ

唯「・・・空気が重たいよぅ・・・・」



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:29:22.46 :Gqx9SXLWo


憂「・・・意味わからないよね。
  別れた姉の浮気相手と一緒に手打ちうどんって」コネコネ

梓「人の気持ちかき回すのに飽きたら今度はうどんかよ、って感じですね」コネコネ

憂「お姉ちゃんにとっての私たちって、こんな小麦粉程度の軽さだったんだね」コネコネ

唯「う、うどんはおいしいよ?! わたしうどん大好きなんだよっ!?」

梓「・・・」コネコネ

憂「・・・」コネコネ

唯「なんとか言ってよぉ・・・・」



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:31:35.88 :Gqx9SXLWo


憂「ところで梓ちゃん。昨日の夜お姉ちゃんにかき回されてうれしかった?」コネコネ

梓「なにそれ、きもっ。
  もしかして最近唯先輩に相手されてなかったひがみ?
  溜まってんならトイレで独りでいじってきなよ、憂のこねとくよ」コネコネ

憂「あはは。さすがメス猫は言い方が下品だよねー。
  よくもまあ、人の家であんな下品な声をさっ」コネコネ

唯「だから家族連れがいるんだってばぁ!小学生が聞いてるからー!!」



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:33:49.31 :Gqx9SXLWo


唯「そ、それじゃあ次は叩きつけて空気を」


憂「・・・」バシッ バコッ

梓「・・・」ドカッ ガツッ


唯「ひいっ?!て、テーブルが壊れちゃうってばぁ!?」




11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:36:02.73 :Gqx9SXLWo


憂「・・・・・」ボコッ ドカッ

梓「・・・・・」バーン バコッ


唯「・・・あの、もうちょっと、和気あいあいとやりませんか・・・うぅ・・・」


梓「これでも我慢してるんですが何か」

憂「本当はお姉ちゃんをこうしてやりたいぐらいなのに」


唯「スタッフの眼がいたいよぉ・・・」



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:38:16.05 :Gqx9SXLWo


唯「あ、えーと次は、その・・・・・」


憂「・・・・・」ズドーン グチャッ

梓「・・・・・」デュクシ ボカーン


唯(あ、あわわわ・・・これ、絶対アウトだって・・・)


憂「・・・・どしたのお姉ちゃん。次は?」

梓「今さらしおらしくしないでください。逆にムカつく」


唯「え、えーとその、麺をのし棒でひろげ・・・きゃああっ!!?」



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:40:29.51 :Gqx9SXLWo


憂「うるさいお姉ちゃん」

唯「だ、だって今のし棒わたしに向けたじゃん!?」

梓「そうやって被害者づらして逃げてきたんですね、今まで。
  このままうどん作りからも逃げるんですか?」

唯(ごめんあずにゃん逃げたいです)


唯「――あ、ああーそうだいいこと考えたっ!!
  のし棒で伸ばすのはわたしがみんなの分やるよっっ!!」



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:42:42.90 :Gqx9SXLWo


唯「・・・・・」


 \へちょーん/

憂「下っ手くそ」

梓「センスないんですね」

唯「うぅ・・・」

憂「その下手くそに指つっこまれて喜んでたの、誰なの」



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:44:56.34 :Gqx9SXLWo


梓「なに自分は関係ないみたいな態度とってんの?
  唯先輩に聞いたよ、あんたおしりの穴につっこまれて自分から」

唯「食べ物つくってるって言ってるでしょおーーっ!??」

憂「ほんとだよね。そこだけお姉ちゃんに同意だよ。
  下等生物はそこの排水溝で野良猫とヤってればいいじゃん」

唯「だから小学生が聞いてるってばあーーーっ!!!!」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:47:09.69 :Gqx9SXLWo


梓「はぁ・・・ほんっと、被害者面が好きですよね」

憂「元はといえば、
  全部投げ出してこんなくだらないイベントに逃げてるお姉ちゃんが悪いんだよ」

梓「先輩たちのおかげで女の汚さをいやってほど思い知りました」

憂「あはは。梓ちゃんがそれ言うんだー」

梓「ってかその上から目線いい加減やめてくれない?
  憂って生まれたときから一緒にいたくせに、
  手ぇ出されるの、私より遅かったんでしょう?」

憂「ちなみにわたしほぼ毎晩ヤってたんだけどな。梓ちゃん週何回?」

梓「うわあ」

唯「あの、わたしが言うのもあれですけど、もうちょっと声おさえて・・・」グスッ



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:49:23.15 :Gqx9SXLWo


憂「あはっ逃げるんだ~。やっぱりお姉ちゃんに愛されてなかったんだねー。
  ほんとは自分だけイッて悦んでばかりで、
  ちゃんとお姉ちゃんを満足させられなかったんじゃない?」

梓「そっちこそ、ほんとに唯先輩イってたの?
  先輩、マジイキすると尾てい骨のあたりがひくひくしてかわいーんだよ。
  どうせ憂は知らないでしょ?」

憂「はっ、その程度でね。恥ずかしくないの?
  お姉ちゃん、左足の静脈にそってクリトリスまでなめるとね、」

唯「わたしの性癖をばらさないでよーっ!?
  ぜんぜん違う意味ではずかしいよっばかーっ!!
  わたし、もうこの店いけないよっ!!?///」グスッ



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:51:36.65 :Gqx9SXLWo


憂「お姉ちゃん、泣けばいいと思ってるでしょ」

梓「前から鳴かせばいいと思ってた人だもんね」

憂「ケータイ見ようとするとエッチに持ち込んでたでしょ、お姉ちゃん」

梓「うん。そうやってなあなあでごまかすの。
  どうせ適当に指動かしてりゃ許してくれるって思ってたんだろうね」

憂「そんな適当な仕事してるからうどん一つこねられないんだよね
  どうりで内定こないはずだよ」

唯「就活の話は今はゆるしてよー!?」グスッ



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:53:50.07 :Gqx9SXLWo


梓「ほら、こういうとこ。人事の人って見る目あるんだね。
  ていうかこの人、ESとか書けたの?」

憂「四年間、女の膣をほじくって遊んでましたとでも書いてるんじゃない?
  そりゃあ落ちるよね、あはは。」

梓「あはは。そのまま社会の底辺まで落ちてくたばればいいのにね」


唯「ねっねえ二人ともっ!!
  うどんって、細く長く生きられますようにって意味があるんだって!!
  みんななかよしでずっと居られたらいいよねっ!!ねっ!??」


憂「・・・・・チッ」

梓「・・・・・誰のせいだと思ってんだよ」ボソッ

唯「・・・・ぐすっ・・・えぐっ・・」




20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:56:03.47 :Gqx9SXLWo


梓「ふぅ。じゃあ次は」

憂「伸ばした麺を等間隔に切る作業だって」



唯「あぁああああっっやりますやりますやらせてくださいっ1!!
  だからその包丁わたしに向けないでえええっっ!!!」



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 22:58:16.93 :Gqx9SXLWo


憂「お姉ちゃん邪魔」

梓「向けられるようなことしたんですか?」


唯(だ、だめだ・・・今の憂たちに包丁はまずいって!)

唯(ていうか憂、包丁似合いすぎじゃない!? 仕事人だよ!?)

唯(どうしよう殺されるどうしようどうしよう)


憂「ねえお姉ちゃん。突っ立ってないで手伝ってよ」

唯「ひゃっ、ひゃい!なんなりと!!」


梓「じゃあ。麺がずれないように手で押さえててください」



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 23:00:30.45 :Gqx9SXLWo


唯「あ・・・・ひっ・・・・・・」ガクガク


憂「じゃあ切ってくよー」

 ズダンッ

唯「ヒイッ!?」ビクッ

憂「ああもうお姉ちゃん動かないでよー。指きっちゃうよー」

 ズダンッッ

唯「怖っ!? ていうか指どころか手首切り落とす気でしょ憂!?」

梓「あーもう手が震えてますよー?
  憂、ちょっとこの人おさえてるね」ぐいっ

唯「いやぁあああああっっ?!?」

 ズダダダンッッ



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 23:02:43.87 :Gqx9SXLWo


唯(ち、近づいてるちかずいてる!あと3回ぐらいで腕ごともってかれる!!)


唯「あの、そのっ・・・あずにゃ、疲れたから交代しt」

 ズダダダダダダダダダダッッッッ

唯(ペースあがったあぁあああっっ)


憂「・・・ごめん。わたし、今日ちょっと機嫌わるいんだ」にこっ

唯(つ、爪に包丁がっ!!ひんやりしてる、ひんやりしてるー!!?)

梓「奇遇だね。わたしもなんですよ。
  だからちょっと、手とかぶれちゃうかもです」くすっ

唯「あ・・・・やだ・・・・・っ」ガクガク



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 23:04:57.31 :Gqx9SXLWo


  ズダンッ

 ズダダダンッ


    ズ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッッッ


唯「ごめんなさいごめんなさい11!!
   もう三肢とかしませんからっ!ゆるしてくらさぁいっっ!!!」

憂「は?まだいたの」ズダンッ

梓「さすがですよね先輩って」ガシッ

唯「ああぁあああああっいまのナシいまのナシ!!」

  ザ ク ッ


唯「~~っっ!?!!?」



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 23:07:10.72 :Gqx9SXLWo


唯「あ・・・っ・・・うぁっ・・・・・・」ガクガク


憂「・・・・ねぇ梓ちゃん。いいこと思いついた」

梓「なに?聞くだけ聞くけど。」


梓「あーそうだねぇ。みんな仲良しがいいんでしたっけね。

  ゆ い せ ん ぱ い ?」


憂「うん。まぁよかったね、 お 姉 ち ゃ ん」





          ズ ダ ンッ



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 23:09:24.15 :Gqx9SXLWo

――――――
――――
――


憂「・・・と、そんなことがきっかけで十年前に開業した平沢製麺。
  今では全国4000店舗になりました♪」

梓「麺ののどごしならどのお店にも負けません!
  テレビの前のみなさんも、ぜひ本店の味をご賞味くださいね♪」


 <ァアアアッ リャメエッ コレッヌイテェエ ヒグウッイグウウウッッ


律「・・・・なんか聞こえたんだけど」

梓「もー、カメラに音声入っちゃいますよ?」

憂「律さん、録りなおしましょうか?」

律「いや、うん、編集でいろいろ消すから・・・
  つーかなんだよこれ・・・うちのレポーターどん引きしてるんだけど・・・」



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/30(土) 23:11:37.56 :Gqx9SXLWo


ぴっ

憂「気になったあなたは『平沢製麺』で検索検索ゥ~♪」


 <ヒグウッッ オガシクナルゥウウウ ウィイイッッ アウニャアアアア


梓「今なら注文時に『食べログを見た』とおっしゃって頂ければ
  ステキなプレゼントをさーb \オマンゴオガジクナルゥウウウッッ リャメエエエエッッ/

憂「本場の味、一度試してみてくださいね♪」

ぴっ

ういあず「「おつかれさまでしたー」」


律「こんなもんテレビで流せるかー!!」


上条「最近よく同じ夢を見るんだ」


1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:12:57.57 id:Tuh/bQ6wO
インデックス「とうま…」

上条「い、インデックス…?」

インデックス「とうま、とうまは…苦しくない?」

上条「苦しいってなにが…」

インデックス「いつも我慢してて…苦しくない?」ツツー…

上条「わ、わぁ!?」

インデックス「私はとうまなら、いいんだよ?」

インデックス「だから、我慢しなくていいよ…?」

‐‐‐

上条「わぁぁ!」ガバッ

上条「……ゆ、夢か…」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:14:40.43 id:Tuh/bQ6wO
おうふ
○上条「最近よく同じ夢を見るんだ」



上条「はぁ…なんて夢を見ちまったんだ…」

インデックス「あ、おはようとうま」

上条「!!」ドキッ

上条「お、おはよう!か、かか顔洗ってくるな!」

インデックス「……?うん」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:17:50.19 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「はぁ……びっくりした」

上条「まさか俺があんな夢を見るなんてな……」

上条「よりによって、インデックスと…あんな…」

上条「……」カァーッ

上条「駄目だ!思い出したら駄目だ!!」

上条「……」パチャ パチャ

上条「はぁ……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:21:43.45 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「ほら、朝食だぞ」

インデックス「わーい!いただきます!」

上条「まぐまぐ…」チラッ

インデックス「はむはむ…」

上条(このインデックスと…夢の中で…)

上条(わ、忘れろ!脳細胞破壊されるんだ!)

インデックス「ごくっ…ごくっ…」

上条(インデックスが白い液体を飲んでる……確か夢でも…)

上条(意識するな!牛乳くらい飲むだろ!!)

上条(こういう時ってなんだっけ?『心頭灼熱すれば火もまた涼し』?違う!熱くなってどうする!)

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:25:09.42 id:Tuh/bQ6wO
インデックス「とうま?」

上条「な、なんだ!?」

インデックス「なんだか変な顔してるんだよ、どうしたの?」

上条「い、いや!なんでも!?」

インデックス「そう?」

上条(か、顔が近い…)

インデックス「あれ、顔が赤いかも」ピトッ

上条「わっ!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:28:14.21 id:Tuh/bQ6wO
インデックス「むむ、熱はないみたいだけど…」

上条「し、心配しなくても大丈夫だって!!」

インデックス「本当に?無理してない?」

上条「ああ、もう超健康!超大丈夫!超心配ないぞ!!」

インデックス「そっか、ならいいんだよ」ニコッ

上条「!」

上条(ごめん…インデックス本当にごめん…)

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:31:21.85 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

インデックス「ふぁぁ…」

上条「そろそろ寝るか」

インデックス「うん、そうしたいんだよ…」

上条「じゃあおやすみ」

インデックス「おやすみ、とうま」

上条(結局、今日は全然冷静になれなかったな…)

上条(まあ、明日も学校だしそのうち忘れるよな)

上条「くぁ…」ウトウト

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:34:13.33 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

インデックス「とうま…気持ちいい?」ペロペロ

上条「や、やめろ!インデックス」

インデックス「どうして?」

上条「そ、それは…」

インデックス「とうまは気持ちよくなかった?」

上条「……そ、そういう事じゃなくて!」

インデックス「そうなの?なら良かったんだよ」

上条「うあ、あぁっ!」

インデックス「――いっぱい気持ちよくなって?」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:37:10.03 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「だ、駄目だってー!!!」ガバッ

上条「はぁ…はぁ……」

上条「……またこの夢見ちまったのかよ…」

上条「ハッ!」

カミやん「グモニ」ボッキーン

上条「……不幸だ」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:41:20.96 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

土御門「そりゃーカミやん、欲求不満だぜい」

上条「やっぱり?」

土御門「そうだよなぁ、カミやんはゆっくり自分を慰める事も出来ないだろうからにゃー」

上条「そうなんだよなぁ…」

青ピ「何々!?カミやん欲求不満なん!?」

上条「声でけぇぇ!!!」
土御門「カミやんもにゃー」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:44:21.00 id:Tuh/bQ6wO
上条「声でけぇぇ!!!」

土御門「カミやんもにゃー」





‐‐‐

上条「そうだよな、欲求不満だからあんな夢見ちまったんだ…」

上条「つまりそれを無くす為に…」

上条「俺は今日オナニーをする!」ド ン

上条「インデックスがいるしゆっくりは出来ないけど、まあさっさと始めてさっさと抜いちまおう」

22: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 投稿日:2011/05/22(日) 21:47:30.10 id:Tuh/bQ6wO
インデックス「スピー…」

上条「……」

上条「よし、インデックスはよく寝てたな」

上条「鍵はかけたし、早速やるか」

上条「ちなみにオカズは青ピから借りた巨乳女教師もの!」

上条「青髪ピアスさん、ありがとうございます」

23: 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 投稿日:2011/05/22(日) 21:50:18.85 ID:7m3qILxX0
青髪ピアスの趣味ってロリじゃなかった?

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:51:10.70 id:jFpI5Tr60
>>23
ロリも好きなんやで

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:50:36.25 id:Tuh/bQ6wO
シュッシュッ

上条「はぁ…はぁ…」

上条(オカズはあるのに集中出来ねえ…インデックスの事ばっか浮かんじまう…)

上条(駄目だ!インデックスをオカズなんかにしちゃ!!)

――ギシッ

上条「!!」

上条(……なんだ、インデックスが寝返りうった音か…)

上条(くそっ、早く抜かなきゃいけねえのに!)

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:53:06.36 id:Tuh/bQ6wO
シコシコ

上条「はぁ…はぁ…」

上条「……」

上条「…イン…デックス」

上条「インデックス…!インデックス!」シュッシュッ



インデックス「とうま…?」

上条「!?」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:54:50.40 id:lZP9JY2g0
ふむ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:55:56.79 id:fiTFFbUV0
おっと

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 21:56:08.46 id:Tuh/bQ6wO
上条「あっ…あ」

インデックス「今、私の名前呼んでた?」

上条「よ、呼んでねぇよ…」

インデックス「そっか…うーん、空耳かな」

上条「い、インデックスは何してるんだ?」

インデックス「トイレ」

上条「そ、そうか…」

上条「……」

上条「……」ソー

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:00:25.38 id:Tuh/bQ6wO
インデックス「じゃあおやすみ、とうま」

上条「……あっ!」ビクッ

インデックス「……とうま?どうしたのとうま」

上条「ぅ……な、なんでもねぇよ…っ」シュッシュッ

インデックス「で、でもなんだか苦しそうなんだよ」

上条「いや…大丈夫…ぅ、あ…!」シュッシュッ

インデックス「とうま、どうしたの?ここ開けて!」

上条「だ、大丈夫!本当に…大丈夫だから…!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:03:11.49 id:Tuh/bQ6wO
インデックス「……本当に?」

上条「あぁ…!気にしないでくれ…」

インデックス「……じゃあ、おやすみとうま。何かあったら言ってね?」

上条「んっ…お、おやすみ……~~っ!!」ドピュッ

上条「はぁ…はぁ…」

上条「……」

上条「……」

上条「……最低だ、俺って…」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:07:29.20 id:Tuh/bQ6wO
チュンチュン

上条「う、うーん…」

上条「はっ!」ガバッ

上条「今日はあの夢見てないぞ!」

上条「やっぱり溜まってたのが悪かったのか…」

上条「……あっ」

上条「……」ズゥゥン ←昨日の事を思い出した

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:10:51.55 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

インデックス「いただきまーす」

上条「いただきます…」

インデックス「はぐはぐ」

上条(昨日…本当に最低だよ…)

インデックス「とうま、お醤油とって欲しいかも」

上条「あ、ああ」

インデックス「ありがとう、とうま」

上条「いや…」フイッ

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:13:12.42 id:Tuh/bQ6wO
上条(目が合わせられねぇ…)

インデックス「……」シュン

上条「あっ…」

インデックス「……」

上条「……」

上条(き、気まずい…ッ!!)

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:16:09.08 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

インデックス「おやすみなさい」

上条「お、おやすみ」

上条「……」

上条(オナニーしても気まずい、しなくても気まずい、ってどうすりゃいいんだ!)

上条(でも昨日のは明らかに自業自得……だがしかし!)

上条(あの時の上条さんはシモ条さんに乗っ取られてたんですよ!!)

上条(……誰に言い訳してるんだろう)

上条「はぁ……不幸だ」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:19:33.08 id:Tuh/bQ6wO
上条(もういい…寝よう)

上条(いくらここのとこ続けて見たからって今日もそうだとは限らねえし…)

上条(そうだ、そうだよな)

上条(多分大丈夫だろ…きっと…)

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:25:14.14 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

グリグリ

上条「うっ、い…インデックス…」

インデックス「どうしたの?」

上条「も…踏むの、やめてくれよ…」

インデックス「えー…、でもとうまの下の幻想殺しはやめてほしくなさそうなんだよ?」

ギュウウ

上条「ああぁっ!」

インデックス「ほら、こんなに力いれても気持ち良さそうかも」

インデックス「とうまってマゾヒストだったんだね…」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:30:15.53 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「俺はドMじゃなぁぁぁい!!」ガバッ

上条「……また、か」

上条「つーかどんどんマニアックになってってないか俺の脳内…」

上条「ハッ!」

カミやん「グハッ…」グッタリ

上条「殉職しておられる……不幸だ」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:37:00.45 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「なぁ土御門」

土御門「なんだにゃーカミやん」

上条「俺ってM?」

土御門「いやー、それはどっちかと言うと青ピに相談したほうが…」

上条「相談したらまた大きい声で『えっ!カミやんってMなん!?』って言われちまうだろ!」

ザワザワ… マジカヨ カミジョウッテMナンダ アブノーマルー ザワザワ…

上条「あっ」


姫神「上条君がMなら。つまり。私がSになれば…」

青ピ「えっ!!カミやんってMなん!?」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:40:36.93 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「結局クラスメイトに誤解されただけか…」

上条「んんっ……最近精神的にか疲れてんだよな」

上条「はぁ……またあの夢見るのかな」

上条「……」

上条「…寝よう」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:46:57.08 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

インデックス「どう?気持ちいい?」

上条「くぅ…っ!」

インデックス「とうまは太ももとかおしりが大好きなんだよね」

上条「んな…」

インデックス「知ってるんだよ、私が裸になったりした時とうまが見てるの」

上条「あれはわざとじゃ…!」

インデックス「でもとうまは凝視してたよね」

インデックス「とうまの変態」

上条「あ、あぁぁ…あ!」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:51:19.32 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「別に太ももやおしりフェチな訳じゃなぁぁぁい!!!」ガバッ

上条「……もう」

上条「なんでだよ…今日もかよ…」

上条「確かに見てたけどさ……普通見ちゃうだろ…」

上条「……本当のインデックスもああいう風に思ってんのかな」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 22:56:22.07 id:Tuh/bQ6wO
‐‐

‐‐‐

上条「う…あぁ…っ」

インデックス「とうまは裏筋を舐められるのが好きなの?」

上条「ちが…違う…!」

インデックス「違わないよね?」

チュウー…

上条「う、ぐぅ…!!」

インデックス「そろそろ抵抗しないで欲しいんだよ」

インデックス「夢なんだから、そんな事しても意味ないんだよ?」

上条「ん……うっ!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:01:07.38 id:Tuh/bQ6wO
‐‐

‐‐‐

シュルシュル

インデックス「ほら、ツルツルで気持ちいい?」

上条「ああっ…ん!」

インデックス「目を逸らしちゃ駄目だよ」

インデックス「インデックスの髪コキなんだよ?」

上条「はぁ…はぁ…!」

インデックス「この髪にいつもぶっかけたいって思ってたんだよね」

インデックス「いいよ、とうまなら…」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:07:19.63 id:Tuh/bQ6wO
‐‐

‐‐‐

インデックス「んっ…んん…」

上条「や、やめろよインデックス…!」

インデックス「んー…ん、んんっ」

上条「うっ…そんなにくわえたら…、苦しいだろ?」

ジュプッ ジュパ

インデックス「もご…ふぉふふぁあひひほ?」

上条「あっ!そ、そのまま喋ったら……うあ!」

インデックス「……んっ!」

インデックス「ん……けほっ、いっぱい出たね?とうま」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:13:05.67 id:Tuh/bQ6wO
‐‐

‐‐‐

上条「い、インデックス…!もうイキたい…っ」

インデックス「ぺろ……まだ駄目なんだよ」

上条「そんな…」

インデックス「だって今までとうまったら拒みっぱなしだったんだもん」

インデックス「だからイかせないようにしたら今度はイキたいって…我儘かも」ピンッ

上条「はぁぁっ!」ビクッ

インデックス「後30分は続けるからね、とうま…」

上条「そんな…もう、無理だって…!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:19:07.06 id:Tuh/bQ6wO
‐‐

‐‐‐

ピュッ ピュル

上条「も、もう出ねえよ…!」

インデックス「昨日はあんなにイキたがってたのに今日は嫌なの?」

上条「そんな事言ったって…、もう…5回も…」

インデックス「でも気持ち良かったよね?」

上条「それは…」

インデックス「ならいいんだよ」モソモソ

上条「ああっ、……い、インデックス!インデックスぅ!!」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:20:55.27 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「……」ムクリ

上条「はぁ……これで何日目だよ…」

上条「……」

上条「今日もインデックスに申し訳ないような夢か…」

上条「不幸、だよな…?」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:25:21.17 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「じゃ、いってきまーす…」

インデックス「…ねえ、とうま」

上条「な、なんだ?」フイッ

インデックス「……、ううん、いってらっしゃい」

上条「ああ…いってきます」

インデックス「……」


上条(はぁ…今日もインデックスと目を合わせられなかった)

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:27:06.73 ID:7Iws63yOI
絶対これ、夢じゃないだろ

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:27:34.79 id:EcBxJmLM0
どこら辺から夢とリアルが交差する世界?もう交差済み?

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:29:45.00 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

上条「じゃあおやすみ」

インデックス「うん、おやすみなさい」

上条「……」

上条(今日もあの夢…だよな)

上条(……お、俺はアレを楽しみにしてる訳じゃない!!)

上条(そうだよな…)

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:36:15.64 id:Tuh/bQ6wO
‐‐‐

グチュッ グチャッ

上条「くぁ…!そこばっかり…!」

シュコシュコ

上条「い、インデックス…!もっとちゃんと…あぁっ!」


男「いつから俺がインデックスだと勘違いしていた?」

上条「……えっ」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:37:00.94 id:nhy/FLzu0
>>75
え?







え?

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:38:01.64 id:Tuh/bQ6wO
上条「うわぁぁああああ!?」

男2「上条さん…ハァハァ」

男3「あっ、急激に萎えたぞ!」

男4「上条さんの耳たぶはみはむ」

男5「ぺろぺろ^^」

上条「えっ…嘘だろ!!い、インデックスは!?」

男「知るかんなもん。上条さんの右手!!ぢゅるるるる…」

上条「うわぁ!や、やめろ!!」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:38:41.52 ID:7Iws63yOI
まさかの急展開

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:41:03.38 id:Tuh/bQ6wO
シュッシュッ

男2「ほら、気持ちいいだろ上条さん

上条「やめ…やめろよ…!!!」

男3「脇!上条さんの脇ぃ!!」

男5「やっぱりほっぺも舐めるべきだよな^^」

男4「首筋は外せないだろ」

上条「ひっ…ひい!!!」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:43:44.53 ID:7Iws63yOI
ここはホモスレだったのか

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:44:18.41 id:Tuh/bQ6wO
れろれろれろ

上条「やめろ…!!本気でやめろよぉ!!!」

男5「嫌がる上条さんぺろぺろ^^」

男2「もう前だけじゃ収まらねぇよ…」

男3「よし、挿入るか」

男「よく」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:44:40.02 id:Tuh/bQ6wO
れろれろれろ

上条「やめろ…!!本気でやめろよぉ!!!」

男5「嫌がる上条さんぺろぺろ^^」

男2「もう前だけじゃ収まらねぇよ…」

男3「よし、挿入るか」

男「よくしゃぶらないと痛いからな」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:45:54.82 id:JvC/h4WC0
助けてインさん!

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:49:53.76 id:Tuh/bQ6wO
上条「うぐ…ううっ!!」

男「そうそう…気持ちいいよ上条さん

男5「上条さんのウニヘアーもふもふ^^」

上条「んぐ!んむ…っ」

男4「ハァハァ…」シュッシュッ

男3「ケツに●●●くわえながら「その幻想をぶち殺す」を喘ぎ交じりで涙流しながら言って貰うのが夢だったんだ」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:54:20.93 id:Tuh/bQ6wO
男3「おい、上条さんが苦しそうだぞ」

男「そろそろいいか」ズルッ

上条「う……ゲホッ!うぇっ!オェ!」ペッペッ

男2「上条さん大丈夫?」シュッシュッ

上条「うぁっ!もう…手ぇ止め…!!」

男5「吐いたら舐めてあげるよ^^」

男4「上条さん上条さん!うっ」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:57:08.30 id:JAW8ayFg0
\   / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::   )  く   ホ  す
  \ l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::: く   れ  モ  ま
     Y           ,!ミ::::::: ヽ  な  以  な
`ヽ、  |           くミ:::::::: ノ   い  外  い
     |、__  ャー--_ニゞ `i::::,rく   か  は
``''ー- ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;! ,ヘ.)  !  帰
      ゙ソ   """"´`     〉 L_      っ
      /          i  ,  /|    て    r
≡=- 〈´ ,,.._        i  't-'゙ | ,へ     ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l   レ'  ヽr、⌒ヽ'
        ゙、`--─゙      /!         `、
  _,,、-     ゙、 ー''    / ;           `、

  • ''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /         、\
  • ''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ      

   //    /     ヾ_、=ニ゙

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/22(日) 23:59:36.35 id:Tuh/bQ6wO
俺3「可哀想だしさっさと挿入れてやれよ」

男5「ホールドはまかせろ^^」ガシッ

男4「ふぅ…」ガシッ

男2「上条さん上条さん!」シュッシュッ

上条「あ……やめろ!!やめろよ!!!」

俺「じゃあ挿入れるよ上条さん

上条「う、うわ…うあぁ…!!い、嫌だ!!」

ズズッ

上条「…!!!」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:02:39.42 id:IRwsO7s0O
‐‐‐

上条「いってぇぇぇぇぇえええええ!!!」ガバッ

インデックス「きゃあっ!」コロン

上条「……えっ?…あれ、えっ?……あっ、なんでインデックスがここに…」

インデックス「うぅ…」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:05:22.46 id:IRwsO7s0O
インデックス「……」

上条「……ま、まさかとは思いますが…インデックスさん…」

インデックス「ち、違うんだよ!これには訳が…」

上条「訳?…って事はやっぱりお前が…」

インデックス「ぅ…」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:10:00.19 id:IRwsO7s0O
インデックス「……あのね、思春期の男の子はよく溜まるって聞いてね…」

上条「誰からだ」

インデックス「まいか」

上条「……それで?」

インデックス「まいかがね、特にとうまは私と一緒にいるせいで満足に自分を慰められてないんじゃないかって…」

上条「……」

インデックス「それなら私のせいだからお手伝いしようと思ったけど、とうまに直接そんな事言えなかったから…」

上条「…から?」

インデックス「夜な夜なお風呂場に来てその……、し、してたんだよ」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:14:23.39 id:IRwsO7s0O
上条「マジか…」

インデックス「1日だけとうまが起きてて出来なかった日もあったんだけど、その日のとうまは凄く元気なくて…」

インデックス「だから毎日やったほうがいいのかなって…」

インデックス「でも、とうまは最近あんまり元気じゃなかったから相談してみたらね」

上条「誰に?」

インデックス「まいか」

上条「またか…」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:19:00.27 id:IRwsO7s0O
インデックス「それでまいかは、多分マンネリ化してるんだと思うから新しい刺激を与えればいいって…」

上条「じゃあ上条さんのこのケツの痛みは…」

インデックス「……」

上条「そうか…」

インデックス「ごめんなさい…」

上条「いや…いいけどな」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:22:03.61 id:I2Zo6FLw0
ケツになにしたんだ

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:23:50.34 id:IRwsO7s0O
インデックス「ごめんなさい…」

上条「だからもういいって」

インデックス「私が、とうまに直接言えなかったからなんだよ…」

インデックス「私がとうまとの関係が壊れるのが怖くて、コソコソこんな事してたせいでとうまが痛い目にあって…」

インデックス「コソコソやってたのは自分の為で、全然とうまの為になれてなかったんだよ…」

上条「……俺もだよ」

インデックス「えっ?」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:29:30.59 id:IRwsO7s0O
上条「俺も今まで、インデックスとの関係が壊れるのが怖かったんだ」

上条「だから、夢でインデックスと色々してる夢見て興奮しちまって、罪悪感で顔を真っ直ぐ見れなかった」

上条「お前のせいじゃないよ、インデックス」

インデックス「でも…」

上条「それに俺はインデックスにこういう事されても嫌じゃない!これくらいじゃ引いたりしない!」

上条「インデックスは俺がそういう夢見てたって知って引いたか?」

インデックス「ううん!それくらいで嫌いになる訳ないんだよ!」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:33:23.60 id:IRwsO7s0O
上条「お互い嫌われるのが怖かったんだ」

上条「でもこうやってそれぐらいじゃ離れないって事がわかった」

上条「今回はこれで良かったんだ」

上条「次からは、お互いに恐れないで色々相談していけばいいんだよ」

インデックス「……うんっ!」

ぎゅっ

上条「わっ、い、インデックス!?」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:35:04.69 id:IRwsO7s0O
インデックス「ありがとう、とうま大好きだよ」

上条「い、インデックス…」ドキドキ



インデックス「あっ」

上条「んっ?」

カミやん「ヘロー」ボッキーン

上条「あっ」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:37:09.49 id:IRwsO7s0O
上条「わ、悪い!」バッ

インデックス「……いいよ?」

上条「へっ?」

インデックス「とうまなら…いいんだよ?」

上条「インデックス…」

インデックス「とうまぁ…」

‐‐‐

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:41:19.29 id:IRwsO7s0O
‐‐‐

インデックス「とうま…良かったんだよ」

上条「……ああ、俺も良かったよ」

インデックス「とうま…」

上条「……」

上条(いや、これくらいで引くなんてさらさらないけど)

上条(まさか、インデックスが夢の中以上にドSだったなんて…!)



お わ り

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:43:23.73 id:IRwsO7s0O
誤字脱字多くてすまん
タイトル間違えて生きててすみません
上条さん殿堂入りならずでしたね惜しかったですね
ここまで見てくれてありがとうございました
寝ます
探さないでください

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/05/23(月) 00:43:38.80 id:LS0lcTtPO

佐天「御坂さんが二人きりになるたびにキスしてくる」

5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:05:08.15 id:NWrJX9KU0


ピンポーン

佐天「はーい」ガチャ

佐天「御坂さん!どうしたんですかこんな夜遅くに」

御坂「実は佐天さんに相談したいことがあって、アハハハ」

佐天「外寒いですから、中入ってください」

御坂「ありがとう、お邪魔しまーす」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:10:14.45 id:NWrJX9KU0


佐天「御坂さーん、コーヒーとココアどっちがいいですか?」

御坂「じゃあココアで」

佐天「はいどうぞ」

御坂「ありがとね、ふぅあったかい」

佐天「で、相談ってなんですか?」

御坂「実はね・・・」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:14:50.53 id:NWrJX9KU0


佐天「実は?」

御坂「ええと、そのぉ・・・」

佐天「どうしたんですか、モジモジして御坂さんらしくないですよ」

御坂「そうよね、私らしくないわ。ズバッと言う」

佐天「そうです、その意気です」

御坂「佐天さん、私とキスして」

佐天「は?」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:21:12.03 id:NWrJX9KU0


佐天「今なんて言いました?」

御坂「だから、私とキスしてほしいの」

佐天「・・・」

佐天「ええええっー」

佐天「ムリですムリです、絶対ムリです。
女の子同士でキスなんてできる訳ないじゃないですか」

御坂「そこをなんとか」

佐天「そういうことは白井さんに頼んでください」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:27:53.86 id:NWrJX9KU0


御坂「黒子はダメ、あいついきなりディープキスとかしてきそうだし」

御坂「それ以上のことも求めてくるから」

佐天「そもそもなんでいきなりキスなんですか?」

御坂「それは・・・」

御坂「練習したいの本番に向けて」

佐天「練習?本番?全然話が見えないんですけど」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:36:53.09 id:NWrJX9KU0


御坂「私ちょっと気になる奴がいるのよ」

佐天「私の知ってる人ですか?」

御坂「佐天さんはまだあったことないと思う」

佐天「ちなみに性別は?」

御坂「男に決まってるわよ!!」

佐天「はあ、でもなんでそれでキスの練習が必要なんです?」

御坂「来週そいつと出かけることになってるの」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:44:47.77 id:NWrJX9KU0


佐天「はあ、デートですか」

御坂「そこでキス求めてられて下手だったら引かれるじゃない、ね?」

佐天「御坂さんとその人は付き合ってる訳じゃないんですよね」

御坂「そうだけど、もしもってこともあるし」

佐天「ないと思います・・・なんとなく」

御坂「ねっお願い、この通り」

佐天「ええええっ、いくら御坂さんの頼みでも嫌ですよー」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 19:54:07.12 id:NWrJX9KU0


佐天「私、キス・・・なんてしたことないですし・・・」

御坂「だ、大丈夫よ、私も初めてだから」

御坂「それに女の子同士だからノーカウント」

佐天「・・・」

御坂「ねっしてくれたら佐天さんのいうことなんでも聞くから」

佐天「・・・やっぱりできません」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 20:02:23.62 id:NWrJX9KU0


御坂「そう」

佐天「・・・すいません」

御坂「なら、強行手段にでるしかないわね」

佐天「えっ」

佐天「あれ?身体が動かない」

御坂「佐天さん、知ってる?さっき調べたんだけど、このマンション鉄筋で出来てるのよ」

佐天「それがどうしたんです?ってまさか・・・」

御坂「そう、私の能力を使えば人一人ぐらい簡単に動けなくできるのよ」

佐天「御坂さん冗談ですよね」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 20:10:08.99 id:NWrJX9KU0


御坂「悪いけど、私は本気よ」

佐天「えっ御坂さん、落ち着いて下さい」

御坂「あいつの唇はどんな味がするんだろ」

佐天「目が、目がおかしくなってます」

御坂「ハァハァ」

佐天「いや、やめてっー!!助けて」

御坂「ふっんっ・・・んっ」

佐天「んっんんんんん」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 20:41:13.54 ID:6kr1cvCA0


佐天「ぷぁっ・・・御坂さん、やめ・・・んぅっ・・・」

御坂「ん・・・クチュ・・・おいし・・・」

佐天「あうっ・・・ぷふぁっ!」

御坂「ふふっ・・・佐天さんかわいい・・・!」

佐天「もう、いいですよね御坂さん・・・」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 20:45:21.89 ID:6kr1cvCA0


御坂「何いってんの、これからよ?」

佐天「嘘でしょう・・・?」

御坂「こんなもんじゃ練習にならないじゃない、あと20分は続けるわよ」

佐天「そんなぁ・・・あうっ・・・んっ・・・」

御坂(私以外考えられなくなるくらいすごいのを覚えないとね・・・)


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 20:53:04.48 ID:6kr1cvCA0


___40分後___

佐天「あぅ・・・・・・////」

御坂「ちょっとやりすぎたかもね・・・」

御坂「微力な電気で全身にちょっとずつ刺激も与えてたしね・・・」

佐天「御坂さん、すごいです・・・////」

初春「なにしてるんですか佐天さん、御坂さん!?」


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:03:32.68 ID:6kr1cvCA0


佐天「初春・・・////」

御坂「あぁ初春さん丁度良かった、ちょっと手伝ってくれない?」

初春「・・・何をですか、佐天さんに何したんですか!?」

御坂「ちょっと練習に付き合ってもらっただけよ、キスの」

初春「キスの練習ですか・・・?なんだ・・・」

初春「って!!そ、そんな、女の子同士でですか!?」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:07:56.71 ID:6kr1cvCA0


御坂「別にいいじゃない、キスは性別関係ないわよ。さっ、初春さんもキスしよ♪」

初春「でっでも、私キスってした事・・・////」

御坂「何事も体験よ。・・・それとも、私じゃいや?」

初春「いえっそんなっまさか!っでっでもやっぱり私・・・」

御坂「あぁ、もういいわ無理やりするし♪」

初春「へぇっ!?ちょっと・・・んぅっ!」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:11:41.60 ID:6kr1cvCA0


御坂「あむっ・・・れる・・・あまぁい・・・」

御坂「何か甘い物食べてきた?カスタードの味がする・・・」

初春「ちょっと前にクレープを・・・んむっ・・・」

初春(なんだか気持ちいい・・・御坂さん、キスも上手いんだ・・・)

佐天「いいなぁ初春・・・私もしたいなぁ・・・」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:15:15.69 ID:6kr1cvCA0


御坂「ちょっと待っててね、後でしてあげるから」

佐天「はい・・・////」

初春「はむっ・・・あぅっ・・・れるっ・・・」

御坂「っ・・・初春さん積極的ね・・・」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:21:53.92 ID:6kr1cvCA0


___30分後____

御坂「ぷぁっ・・・さすがにそろそろ疲れたわね」

初春「うぁん・・・御坂さん、もっと・・・////」

佐天「御坂さん、私はぁ・・・?」

御坂「ごめんそろそろ休ませて・・・」

御坂「もう終わりにしましょう?ありがとね」

佐天「そんな、私まだまだ出来ます!」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:25:12.53 ID:6kr1cvCA0


初春「私ももっと御坂さんとキスしたいです・・・////」

御坂(・・・ちょおっとやりすぎたかなぁ・・・)

御坂「でもそろそろ練習も十分だし、もういいかなぁって」

初春「・・・」

佐天「・・・」


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:30:47.72 ID:6kr1cvCA0


佐天「酷いですよ御坂さん、自分が満足したら終わりだなんて・・・」ジリジリ

初春「私、もっともっと御坂さんと仲良くなりたいです・・・」ジリジリ

御坂(なんか、やばそうな雰囲気・・・)

初春「えいっ」プスッ

御坂「あ痛っ!・・・え、これって」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:37:57.52 ID:6kr1cvCA0


初春「能力者を一時的にマヒさせるお薬です、私なんかが能力者に襲われたら危険ですからね」

初春「ジャッジメントの自衛用具ですよ」

佐天「よくやったういはるぅ!」

初春「えへへぇ!」

御坂「ちょっと待って、私動けな・・・」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:42:12.05 ID:6kr1cvCA0


佐天「御坂さんだって動けない私を好きにしたじゃないですかぁ」

初春「今度は私たちの番です・・・////」

佐天「覚悟してくださいねぇ」ニヤニヤ

御坂「い、嫌ぁぁぁ!」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:48:39.67 ID:6kr1cvCA0


___1時間後___

御坂「あ・・・ぅ・・・・」ビクッビクッ

佐天「いやぁちょっと張り切りすぎましたかねぇ」ツヤツヤ

初春「御坂さん結構子供らしいぱんつはいてるんですね」テカテカ

佐天「私は生えてない事のほうが意外だったなぁ、てっきり生えてるかと思ってたよぉ」

初春「佐天さんは生えてるんですね・・・////」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:54:21.83 ID:6kr1cvCA0


佐天「ありゃ、初春も生えてないんだ////」

初春「・・・見てくれます?」

佐天「喜んで!じゃああたしんちだね!」

初春「はい////」

御坂「ぅ・・・あぅ・・・」ビクッビクッ


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 21:59:46.44 ID:6kr1cvCA0


初春「じゃあ御坂さん、私たち行きますね」トコトコ

佐天「御坂さんも、デート頑張って下さいねー」トコトコ

御坂「・・・」ビクッビクッ

上条「すごいものを見てしまったな・・・」

禁書「す、すごかったんだよ!くじらがいたんだよ!」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 22:04:28.77 ID:6kr1cvCA0


上条「帰るか、インデックス」

禁書「うん!・・・とーま、私も、くじらになりたいかも・・・////」

上条「テンション上がってきた!帰ろう!早く帰ろう!」ドタドタ

禁書「ちょっととーま、急ぎすぎなんだよ!」ドタドタ

黒子「お姉さまぁぁぁぁ!・・・お姉さま!やっと見つけましたわよ!」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 22:07:56.50 ID:6kr1cvCA0


黒子「!?お姉さま!なんというはしたない格好を・・・!」

黒子「まぁ!?注射の跡になにやら液体・・・!」

黒子「・・・」スンスン

黒子「どうやら殿方ではないようですが・・・同じことですわ!」

黒子「私のお姉さまがぁぁぁあぁぁぁ!」


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 22:10:31.43 ID:6kr1cvCA0


御坂「・・・」

黒子「なにやら心ここにあらず、といったご様子・・・」

黒子(意識が無い→やりたい放題→「何もしてない」と言える)ポクポクチーン

黒子「・・・相変わらず子供っぽいパンツはいてらっしゃいますのね」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/01(木) 22:12:49.39 ID:6kr1cvCA0


黒子「寮に帰ったらいい下着を履かせて差し上げますわ!ステキな棒も付いてますのよ!」

黒子「テンション上がって来ましたわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

黒子「さぁ帰りましょうお姉さまさぁ今すぐさぁ早く!」シュンッ

その日女子寮では謎の嬌声が一日中聞こえたという・・・


終われ

上条さん「おい御坂脱げ」 御坂「ふぇ?」


1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 22:57:25.83 id:Hymd/dn10


上条さん「早く脱げよ」

御坂(キュンッ)


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 22:59:36.35 ID:w/05k8kH0


御坂「ななななな何いっt上条さん「速く脱げ」」

御坂「はぅん///」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 22:59:36.94 id:aOvTfDYr0


上條「早く脱げよ」ドカッ

御坂「げえっ!」ガッ

上條「早くしろってんだよ!」バキッ

御坂「うぎぃっ」ドッ

御坂「やめて…」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:03:57.42 id:aOvTfDYr0


御坂「やめて…ください」

上條「どうしたんだよ?早く脱げって」グイ

御坂「やめっ…!」

上條「ほら」ギュッ

御坂「あっ…」

上條「ごめんな叩いたりして」

御坂「…ううん、いいの、大丈夫…グス」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:05:10.40 ID:/yG5C8QT0


御坂「い、いやっ…そんなこと…急に言われても…」モジモジ

御坂妹「それでは私が代わりに脱ぎます、とミサカはオリジナルを差し置いて上条さんの胸に飛び込みます」ガバッ


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:05:25.91 id:aOvTfDYr0


上條「ん」チュッ

御坂「あっ…んっ」チュッ

上條「レロレロ」

御坂「あっあっ…んっ」

上條「ほら、脱がしてやるよ」

御坂「うん////」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:08:03.21 id:aOvTfDYr0


上條「胸、かわいいな」サワッ

御坂「あっ…やだ、恥ずかしい////」

上條「ん」ペロ

御坂「あっ!?////」

上條「んんんん」ペロペロペロ

御坂「いやっきもっちいい…」ビクビク

上條「んぅ」チュウ

御坂「あっそこ、吸っちゃダメ////」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:12:32.44 id:aOvTfDYr0


上條「なんちゃってな」ガリッ

御坂「え?」ブチッ

上條「コリコリしてるな」クッチャクッチャ

御坂「あ…あたしのちく…いだぁあえおえああ!!」

上條「ははは、少しだまれよ」バキッ

御坂「げうっ!!」ガシャーン

上條「ははは、大丈夫か、オラッ」ドカッ

御坂「うげぇ」オエー

上條「ほらほら」バキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッ

御坂「」

上條「あれ?死んじゃったじゃん、ははは」

上條「次はインデクッス所にいくか」

BAD END


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:20:24.21 id:aOvTfDYr0


上條「よお、インデックスさん」

イン「とうま、ごはん遅いぞ」

イン「ずっと待ってたんだからな」

上條「ごめんなインデックス」ギュッ

イン「と、とうま急にどうしたの?」アセアセ

上條「なぁ…いいだろ?」サワサワ

イン「し、仕方ないなぁとうまは…一回だけだぞに」

上條「ははは、」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:23:02.72 id:aOvTfDYr0


イン「んっとうまぁっ」チュウ

上條「インデックスさんはかわいいなぁ」レロレロ

イン「んんっそこはっ…ダメだよ////」

上條「まぁまぁ」レロレロ

イン「んはぁっ、もっとだよっとうまっ」ビクビク

上條「それそれー」クチュクチュ

イン「イクゥッ」プシー


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:25:29.53 id:aOvTfDYr0


上條「ほらっ舐めろよ」ボロン

イン「とうまのおっきい」ペロ

イン「んっんっ」ジュポジュポ

上條「インデックスさん随分うまくなったね」

イン「んっんっ、とうまのいないときに練習してたんだよ」ジュポジュポ

上條「へぇ、流石はインデックスさん、仕事もしないでフェラチオの練習とは」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:27:16.08 id:aOvTfDYr0


イン「出してもいいんだよとーまっ」ジュポジュポジュポ

上條「そうさせてもらうよ」

イン「出してっ」レロレロ

上條「ぬぅっ!」ドビー

イン「あっああっすごいよとーまっ」

上條「ふぅ」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:29:48.91 id:aOvTfDYr0


イン「気持ちよかったとうま?」ペロペロ

上條「ああ、すっきりしたよ」ナデナデ

イン「えへへ、もっとほめるんだよ」

上條「それで誰でフェラチオの練習してたんだ?」

イン「えっ?誰って?」

上條「ははは、他の男のチンポ舐めてたんだろ?」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:31:38.70 id:aOvTfDYr0


イン「ちがっ」

上條「ははは、」バキッ

イン「がぐぅっ」バタッ

上條「ウソついちゃダメだよインデックスさん」

イン「とーま…?」

上條「他の男のチンポ舐めてたんだろおぉ?」グイっ

イン「とーまっ髪の毛いたっ」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:35:36.95 id:aOvTfDYr0


上條「ああああああ!!」ブチッブチッ

イン「いたああ!!髪がぁあ!」

上條「ははは、インデックスさん、髪が真ん中だけないぞ?ははは」

イン「いやだぁあえあ!やめでぇえ!!」

上條「ははは、ばーか」バキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッバキッ

イン「グェッアグっ!えげえ!あごう!!」ゲロブシャー

上條「はははははは、ははは!」バキイッ!!!

イン「」プラン

上條「あれ?首折れちゃった…ははは、はははははははは」

true end


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:38:57.08 id:qizOrWa10


これは流石に陰部の皆様も引く



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/04(木) 23:46:54.89 ID:6qxwEMBT0


これはひどい